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特集

ゲノム編集 育種新時代への備え


冨田 食品となる作物については、食べた人の安全性、環境面での安全性の2つが大きな問題になります。食べた人にとって安全かどうかというのは、PL法があるので、つくった会社の責任であって、国が規制するものではありません。現在、遺伝子組換えした作物をつくると、食品安全委員会に申請することになっています。これが国の規制です。
----環境面の安全性については、どうお考えになりますか。日本では、遺伝子組換えについて、2004年にカルタヘナ議定書を発効しました。ゲノム編集について、カルタヘナ法は必要ですか。
冨田 まず、ゲノム編集について、国による安全性の規制は不要だと思っています。遺伝子組換えは異種の遺伝子を入れるため、生物多様性影響評価のためのカルタヘナ法に則った規制がありますが、その視点で考えると、ゲノム編集は、自分の中の遺伝子を変える技術ですから、規制は絶対に不要です。
----遺伝子組換えに関するカルタヘナ法については、どのようにお考えになりますか。冨田先生は、民間企業で微生物を使った遺伝子組換え製品を生産されていましたが、その民間企業でのご経験を踏まえてお話しください。
冨田 遺伝子組換え生物があちこちに繁茂すると生物多様性への影響があるという環境の問題になるので、国際的なカルタヘナ議定書ができ、日本でも導入しました。
しかし私は、ゲノム編集では異種の遺伝子を入れないので環境面の安全性評価は不要だと考えています。遺伝子組換えについては、環境面への影響はつくった企業の責任です。その理由をお話ししましょう。

従来、突然変異育種による品種改良が行なわれてきました。遺伝子組換えもゲノム編集も、突然変異育種と原理は変わりません。狙い撃ちが間違いなくできるようになり、成功確率が上がった突然変異だからです。もし規制するなら、突然変異育種も規制しなければなりません。

私は民間企業で、遺伝子を組換えた微生物を使用したアミノ酸発酵や核酸発酵に、最初から携わっていました。当時、微生物の遺伝子組換えについては、微生物が外に漏れることによって環境に影響しないように慎重に考えていました。あるいは、生産する人たちに危害を与えるなどの影響がないか検討しました。

つまり、つくった企業の責任で行なわれるべきで、国が規制するものではないと思います。


プロセスとプロダクトを
分けて考える

----食べるうえでも環境面でも、安全性の検証は大事ですが、それは国が規制するのではなく、企業が責任を持って行なうものだということですね。どの育種も、安全性への考え方は同じということでしょうか。

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