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特集

ゲノム編集 育種新時代への備え


食糧自給率が40%以下になった時点で、農業の技術に対して反対することはできないはずです。遺伝子組換えの作物を否定し、海外から輸入を止めれば、日本はたちまち飢餓状態になるでしょう。

----世界では、育種などの技術がどんどん進化しています。日本はどうでしょうか。
冨田 現在は、ある意味、中国にも抜かれています。追いつけ追い越せという時代をくぐってきた人間としては、非常に残念な状況です。かつて日本は、バイオテクノロジーでは最先端を走っていました。日本における、遺伝子組換え微生物による物質生産の技術は世界一でした。一時期、大きな成果を上げていました。
それが、遺伝子組換え技術を作物に応用しようとしたとき、反対の声や、主要農作物種子法によって、苦い経験をしました。企業に勤めていたとき、細胞培養でイネの育種をしようとしましたが、国の規制でできませんでした。今年、ようやく主要農産物種子法が廃止されますが、当時、廃止されていれば、いまごろは良い作物がたくさんあったことだろうと思います。

いつまでも農業者に新しい技術を使わせないというのは大きな間違いです。日本は、科学技術立国ですから、農業も科学技術で進歩させていってほしいと思います。 (文/平井ゆか)


冨田 房男(とみた・ふさお)
1937年、北海道生まれ。北海道大学・カナダのマックマスター大学大学院分子生物学博士課程修了。62年、協和発酵工業(株)に入社。同社つくば研究所所長を務める。89年、北海道大学教授に就任。2003年、北海道大学名誉教授。専門分野は応用菌学、工業微生物学、微生物バイオテクノロジーなど。受賞歴は、02年日本農芸化学会功績賞、15年国際会議開催貢献賞、ほか。

【技術自体を議論してもネガティブになるだけ
できた作物を見て評価すべし】
山根 精一郎氏 株式会社アグリシーズ

育種技術で
後れをとった日本

----モンサントは除草剤のラウンドアップを開発し、その技術を有効に使うために、遺伝子組換えによるラウンドアップ耐性のある作物を育種されてきました。その特徴や効果を教えてください。
山根 ラウンドアップを発表したのは1970年、遺伝子組換えの研究は80年代から始めました。96年からラウンドアップ耐性の大豆、ワタ、ナタネ、トウモロコシが商業化されました。現在、遺伝子組換えによる作物は、世界28カ国、1800万人の農業生産者が栽培しています。

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