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菊地氏らが我が国で大麻草生産に取り組もうとしているのは、薬用成分(THC)が0.3%以下の産業用大麻であり、この品種であれば嗜好用のマリファナにすることができない。しかし、我が国の大麻取締法ではTHC濃度による大麻品種の区別がない。
そんな矢先、昨年7月に東川町の松家氏が北海道厚生局より大麻取締法違反で摘発された。その罪状は「大麻在庫虚偽報告」と「大麻所持違反」である。同氏は、一昨年の2月に農場内で脳挫傷を受ける事故に遭い、2日月間にわたる入院を余儀なくされていた。前年の栽培残さを処理しきれないうちに事故に遭ってしまい、退院後もそれを気にしつつも遅れ遅れになってしまったということである。
大麻取締法では花蕾と葉の所持は禁止されており、同氏もそのことを承知していた。その事実は弁解の余地のないことであるが、大麻について一定の知識を持つ者であれば、矛盾を感じる。同氏が栽培していたのはもとより薬用成分が0.3%以下のものであり、仮にそれを濃縮したとしてもマリファナは作れないからだ。
松家氏の大麻取締法違反による摘発はこれまでの大麻生産推進活動にも大きな影響を与えるだろう。しかし、同氏の過誤は認めざるを得ないとしても、そもそもの大麻取締法の運用のあり方への疑問も感じざるを得ない。産業用大麻は子実トウモロコシ同様、極めて栽培が容易であり、さまざまな産業用途があるだけでなく、その有機質量の多さから見ても現在の日本農業にとって価値ある作物だからである。
この原稿は、この事態に疑問を持つ遠軽町ヘンプ研究会(代表世話人・渡辺信吾氏)による厚生労働大臣に対する公開質問状をもとに書いたものである。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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