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農業は先進国型産業になった!

外国人実習生の効果分析(茨城県農業の事例)

農業分野は外国人技能実習生に支えられている。規模拡大も、後継者も、実習生の活用が決め手だ。実習生を活用しているか否かが農業発展のバロメーターになっている。農業で受け入れが一番多い茨城県を事例に、外国人技能実習生の“効果”を分析したい。

1 社会変動期、労働集約型のイノベーション

長期的な農業発展過程を作物別に見ると、野菜が伸び、稲作は衰退している。図1に示すように、茨城県のコメ産出額は1980年1360億円、2000年1070億円、16年794億円である。この間、半分近くに減った。これに対し、野菜産出額は1191億円、1394億円、2150億円と推移し、近年はかなり増加傾向にある。
コメは機械化が進み、農作業は楽である。高齢者でもできる。一方、野菜は労働集約的であり、農作業がきつい。ところで、野菜は農家所得が伸び、コメは農家所得が低落傾向にある。つまり、労働集約型が伸び、機械化した土地集約型は衰退産業になっている。逆説的に見える。
筆者は先にハクサイ農家を分析したが(『農業経営者』18年1月号拙稿)、ハクサイは重量作物であり、農作業がきつい。ハクサイ経営は作業が重労働で厳しく不利な産業であるのに、伸びている。何故か。ハクサイ産地は外国人技能実習生(以下、外国人実習生)を導入しており、労働集約的というボトルネックを外国人実習生の活用で緩和しているからだ。
労働集約型産業のイノベーションは、通常、機械化である。しかし、機械化が困難な場合、代替策として、外国人実習生という低賃金労働力の活用に向かった。外国人実習生は従来なかった新しい生産要素の導入であり、イノベーションだ。つまり、外国人実習生はハクサイ農業のイノベーションである(収穫機は開発中だが、加工用ではないので難しいようだ)。
別稿で明らかにしたように(後述)、この外国人実習生の導入はこれを引き金に、“規模拡大”につながっていく。もう一つのイノベーションである。つまり、イノベーションがイノベーションを呼んだのだ。

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