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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

フランス~一度も栽培が禁止されていない国~

ド・ゴール大統領のおかげ
戦後も栽培禁止にならず

フランスは、昔もいまも欧州最大の産業用ヘンプの栽培国である。産業革命真っ只中の1840年に約18万haあった栽培面積は、帆船の減少や麻製品の輸入、化学繊維の出現によって1960年には600haまで落ち込んだ。
その後、60年代にたばこ巻紙等に利用価値が見出され、機械化農業が進むにつれて栽培面積が徐々に増えていった。2017年の栽培面積は、欧州3万3000haのうちフランスが約4割の1万2500haを占める(図1)。
いまもってフランスが産業用ヘンプのリーダー的存在であり続けているのは、65年に選出されたシャルル・ド・ゴール大統領が、農業とエネルギーの分野で英米に依存しない独立的な立場をとったことによる。ヘンプ(大麻草)に含まれる化合物のTHC(テトラヒドロカンナビノール)にはマリファナ効果があるため、第二次大戦後、大麻草は世界的に麻薬取締の対象となった。61年の麻薬単一条約の締結をきっかけに、東西冷戦下の西側諸国がこぞって栽培禁止の国内法を整備したにも関わらず、フランスはとくに栽培を禁止しないという姿勢を貫いた。
結果的に戦後も栽培を継続したことで、育種と種子の供給体制が発展した。育種といえば多くの国では公的セクターである農業試験場等が担っているが、フランスでは民間企業が台頭している。全フランス・ヘンプ生産者連盟(FNPC)は産業用ヘンプ専門の種子会社で、50年代から繊維型に特化して育種を手がけてきた。農家における経済性、繊維の品質、収量性、作業性等の育種ニーズを満たす品種を提供している。
16年時点で同社は、1560haの畑で産業用ヘンプ(THC濃度0.2%以下の品種)の種子を約1500t生産し、欧州の農家向けの種子供給で約7割のシェアを持つ。フランス国内のみならず、輸出先は世界48カ国に及ぶ。注目に値するのは、96年に世界に先駆けて開発したTHC濃度ゼロ%の品種「サンティカ23」である。02年に開発された同系統の「サンティカ27」は、同社が現在供給している8品種のうち、作付面積で5%のシェアを占める。

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