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土門「辛」聞

疑惑のグローバルGAP 陰の主役たちのロビー活動

グローバルGAP協議会とGAP普及推進機構による補助金の不正疑惑――。農水省農業環境対策課は、すぐに理事長の横田敏恭氏と専務理事・事務局長の今瀧博文氏を個別に呼び、事実関係の確認作業に入ってくれた。
横田、今瀧の両氏には、「会計原則に沿った補助金の使い方をして欲しい」と要請。遠回しな表現ながら、他人の翻訳を補助事業の成果物として提出していたこと(前号参照)に、農業環境対策課がとりあえずの不快感を示したものである。いずれ調査の結果は明らかになるので読者諸兄にも紹介することを約束しておきたい。
さて、GAP普及での混乱は、ドイツFood Plus社が運営するグローバルGAPのお墨付きをめぐる争いが始まりだった。当時の日本における正会員は日本GAP協会とイオンだけ(前者は2015年に脱退)。争いといっても片方が一方的に仕掛けたものだった。グローバルGAPの日本国内の独占的な営業権を確立するため、日本GAP協会を排除しようとしたことから混乱が起き、いまも続いているのである。
騒動の主役は、イオンアグリ創造の社長を13年5月に定年を5年残して退職した藤井滋生氏。いまはグローバルGAPを中心にコンサルタント業の(株)アグリインキュベーターを経営する。実は、イオンを代表して日本GAP協会の理事も務めていたことがある。その排除工作で藤井氏が使ったのが、シンジェンタジャパンの今瀧氏だった。この2人には共通目標があった。定年後あるいは退職後に、それぞれグローバルGAPのコンサルタント会社を立ち上げるための営業基盤作りのことだ。

GAP活動を担う
4種類の組織

本論に入る前に、GAPと名の付く組織のことを整理しておきたい。機能別に分けると、スキーム・オーナー、審査・認証機関、認定機関、コンサルティング会社の4つのカテゴリーがある。
【スキーム・オーナー】スキームそのものは、計画とか枠組みという意味があり、「認証の枠組みの所管機関」と訳す。国内ではJGAPを運営する一般財団法人日本GAP協会の1組織だけ。海外にはGAP関連で10社(組織)以上くらいあって、最大手は日本でも馴染みの深いグローバルGAP(GGAP)を運営するドイツのFood Plus社だ。スキーム・オーナーは、生産工程管理の基準や手法を定めた「基準(文)書」と呼ぶルール・ブックを発行する。

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