ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土門「辛」聞

疑惑のグローバルGAP 陰の主役たちのロビー活動


日本の国別技術部会は「NTWG‐J」と略す。事務局は、最初イオン本社に置かれていたが、藤井氏が退職する13年には子会社のイオンアグリ創造に移行したそうだ。現在、そのメンバーとして名前を連ねるコンサルタント会社は、先に筆者が「農家を食い物にしている」と形容句をつけた会社(団体)を含めて7組織ある。類は類を呼ぶものだ。
同等性認証の中止が正式に決まってから約半年後の11月29、30の両日、宮崎市のシーガイアコンベンションセンターで藤井氏と今瀧氏が陰の主役として一大イベントを打った。「GLOBALG.A.P.TOUR 2013 Japan」だ。タイミングからして工作が上首尾に終わったことを祝い、なおかつその半年前に定年を5年残して退職したばかりの藤井氏のシニア起業も祝う意味合いがあったみたいだ。宮崎市に会場設営したのは、宮崎大学出身の藤井氏が「母校」に錦を飾る意味合いもあった。

イオンとシンジェンタは
何をしてきたか

日本のGAP活動で存在感をみせたイオン、シンジェンタジャパンのGAPとの関わりをここで総括してみたい。
●イオン
わが国でいち早くGAPに注目した点は評価できる。グローバルGAP事務局訪問も一番乗りだった。2002年ごろ、筆者はドイツ・ケルンのグローバルGAP事務局を訪ねた。応対に出たスタッフに、何気なく「日本人でここを訪ねてきたのは、俺だけか」と尋ねたところ、「ノー、ノー」と首を立てに振り、名刺を示しながら「イオン、エフピコの2社が一緒にやってきた」と教えてくれた。。エフピコとは、イオンの取引先で食品トレーのメーカーだ。
ちょうど中国産冷凍ホウレンソウに農薬汚染が見つかって大騒動の最中で、彼らはヨーロッパにおける生産工程管理の手法を学ぶためにやってきたのだ。その成果は業界に先駆けてのGAP普及という形なった。
その後、GAPに対するイオンの考え方は変化していく。GAPは単なる生産工程の管理手法なのに、商品差別化のためのツールにしてしまった。イオンらしいのは、ごく一部の商品だけをグローバルGAPの認証対象にして商品や会社のイメージアップにつなげるあざとさだ。
GAPをそのように使うことは禁じ手である。消費者に優良誤認のイメージを与えてしまう恐れがあるからだ。実は、グローバルGAPだけでなく、JGAPもそうした使い方を厳しく禁じている。何も分からないメディアはそれを大きく取り扱うので、GAPイコール品質認証のツールと受けとめる誤った考え方が広まり、GAPの普及にブレーキをかけることになった。その意味でイオンの責任は重大である。

関連記事

powered by weblio