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今月の数字

1.3万人前後(来場者数は小規模でも専門特化した展示会が面白い)


ここ数年の傾向として、展示会の出展にかかる費用がさまざまな補助金の対象となったことを背景に、県単位でブースを借りてそれに補助金を助成し、各事業者が費用負担を安く抑えて出展する形も多く見られるようになっている。なかには、「6次産業化により商品開発したので、今回は様子を見るだけでとくに成約が取れなくてもよい」という出展者の声も聞かれるようになった。出展の敷居がかなり低くなったのは喜ばしいことだが、周りから見れば少し内向きな考え方に映る。生産者が何人もブースに来ていながら仲間内でばかり話し続けてバイヤーと話もしないのでは、これから販売したいと思うマーケットの考え方やニーズに触れることはできない。展示会は回数をいたずらに積めばよいというものではなく、異分野のモノの考え方を実感する「気づき」が重要だ。
二点目の傾向としては、農や食に関してより専門特化したテーマへの来場者が増えてきたことが挙げられる。とくに注目なのは、「ミートフードEXPO~焼肉ビジネスフェア」「シーフードショー大阪」「外食 FOOD TABLE」「外食ビジネスウィーク」「生産者・JAと流通業者との米の商談会」など、小規模ながら期待するターゲットが来場する専門的な展示会だ。大規模な展示会では来場者の属性がどうしても多種多様になり、自分たちが来てほしいと思う来場者と効率的に出会う確率が低くなる。たとえば、小売店のバイヤーと話をしたくても問屋や企画会社が多かったり、商談の意思決定ができる人が少なかったりということがある。外食の特定のカテゴリをテーマとした展示会は商談の決定の権限を持っている店舗のオーナーや店長が会場に来ることが多く、その場で出展した商品についての評価を聞いて反応を確かめることができるのは大きな利点だ。テーマが設定されている業界では、焼肉店や居酒屋、旅館、米穀店など比較的小規模の店舗が数多く存在し、毎年異なる来場者が訪れる。大規模なFC企業と違って産地や食材の情報が得られにくくなっているため、展示会に来る動機もある。要するに、主催者団体のテーマ設定がうまいのだ。大規模な少数のプレイヤーが高いシェアを握る市場では展示会に参加する意味は薄いし、県や支援団体のブースばかり目立つと展示会の魅力は薄れてくる。展示会に参加する農業者が増加するなか、今後はどの展示会を選ぶかで販路発見の成果に大きな違いが出てくる。選びようによって展示会はまだまだ商売の手応えも面白さもある。

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