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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

カナダ~食品分野で世界一を誇る生産国~

カナダは人口約3600万人で、ロシアに次いで世界で2番目に国土面積の広い国である。昨年、建国150年を迎えた。英語とフランス語を公用語とする移民国家であり、異なる文化を対等な立場で認め合う多文化主義は国の政策にも表れている。加えて、先進国のなかでも科学教育に力を入れており、その科学的リテラシー(理解力度)の高さを背景に、新しい価値観を許容する法整備を積極的に行なっている印象を受ける。
大麻草については、隣の米国が1937年にマリファナ課税法を制定し、実質的に栽培を禁止したことを受けて、38年にアヘン・麻薬法を制定し、栽培を禁止した。その後61年に麻薬単一条約を批准すると、科学的研究を除き全面禁止となった。しかし、98年に産業用ヘンプが、03年に医療用大麻がそれぞれ解禁され、18年には嗜好用が合法化され、まさに世界の最先端を行く国である。

4年間の試験栽培と
協議を経て解禁へ

カナダで産業用ヘンプが新しい作物として注目されたのは90年前後のことである。オンタリオ州のタバコ農家が94年に欧州からヘンプの種子を取り寄せて、試験栽培の先陣を切った。翌95年にはゲルフ大学のゴードン教授、マニトバ州農業省の研究員らが栽培を始めた。そして、96年にはヘンプの利害関係者となる農務省、食品検査庁、王室警察、国務長官及び保健省等の代表からなる委員会を設置して協議を行ない、透明性かつ客観性のある政策意思を決定する「規制影響分析」を実施した。こうして実質4年間の調査結果により、カナダ保健省(日本の厚生労働省に相当)は、農業・産業分野でヘンプをマリファナとは別のものとして、一定の制約のもとで活用する機会を与えることを決めたのである。97年にちょうど連邦法「規制薬物・物質法(CDSA)」を施行したばかりだったので、そのなかに「産業用ヘンプ規則(Industrial Hemp Regulations)」を設け、THC濃度0.3%未満の品種を産業用と定義して98年春から商業栽培を合法化した。

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