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同高校のグローバルGAPへの取り組みは、ドイツ・グローバルGAP事務局が主催の「GAPアワード大賞2016」を受賞する事態に発展した。副賞として生徒の代表2名がオランダ・アムステルダムで開かれたグローバルGAPサミットでの表彰式に招待された。招待は2名だったが、受賞は学校の名誉だということで、急遽、生徒6名、指導教官5名の総勢11名が授賞式に出席することを決めた。
生徒2名分以外の旅費は、後援会などが手配して募金を集めたと山口校長が教えてくれた。そこで「その2名分の旅費、資金源はどこかご存じですか。実は、グローバルGAPはびた一文も出していません。2名分の旅費は、スイスのクロップインターナショナルという農薬関係の会社がスポンサーでしたよ」と答えを出すと、山口校長、「へぇ~、そうだったんですか」と苦笑しておられた。
山口校長はなかなかの方である。学校が有名になれば生徒のモチベーションも上がると考えてグローバルGAPの話に飛び乗り、そのおかげで高校の名前がグローバルに広まったので自己負担分は宣伝費と割り切れば安いものと考えておられるようだった。
それにしても、グローバルGAP勢の商魂のたくましさには、ひたすら驚嘆するのみである。
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17年11月、日本GAP協会は、世界食品安全イニシアチブ(GFSI)に対し、「アジアGAP」の承認申請をしたと発表した。GFSIは、各国の有力スーパー、フードチェーンなど食品を扱う企業が数多く参加している。実は、自らを国際規格と呼ぶグローバルGAPにとっての根拠は、このGFSIの承認を持っていることだった。アジアGAPがGFSIの承認を得れば、グローバルGAPは日本国内における独占的な立場を失ってしまうことになる。アジアGAPが日本やアジアの農家にとって取り組みやすい仕組みで、かつ安価なサービスを提供できれば、アジア市場でグローバルGAPと肩を並べることも夢ではないのだ。
次なる見物は、グローバルGAPがアジアGAPのGFSI承認申請に妨害工作をしてくるかどうかだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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