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イベントレポート

『農業経営者』、農村経営研究会2018年新年会

新年会の基調講演で、宮城大学名誉教授の大泉一貫氏は、稲作偏重農業から成長産業へ転換しようとする農政の課題について持論を展開した。以下、その概要を紹介する。

これからの農政は
輸出を軸とした成長産業化

農政の課題は、「戸数を減らさないことだ」とか、「農地を荒らさないことだ」という人もいるが、重要なのは経済活動を活発化し、農業産出額8.8兆円と農業GDP4.8兆円を伸ばすことである。経済がグローバル化するなかで、TPPやFTAがあろうがなかろうが、日本の農業はこのままでは衰退する。そのためには、農産物輸出額0・8兆円を伸ばすことと、農業・食料関連産業110兆円、GDP51.7兆円を伸ばすことが重要だ。つまり、国内の農業を成長産業化すること、それと日本の食料安全保障のために世界の国々としっかりした関係を持つことを並行して進めなければならない。

稲作偏重農政は
農業を衰退させる

そうしたなかで、稲作偏重農政は、いまだに農業経済学者や農政学者、農政関係者の間で共有されている思想である。この思想が農業を衰退させてきた。
なぜ稲作に重点を置く必要があったのか。農政の目指すところが兼業農家の維持にあったからだ。正組合員500万戸、准組合員500万戸が農協を支え、それが農村を安定させているので、稲作偏重農政が必要だというロジックである。
では、実際に稲作は成長しているのであろうか。農林予算2兆6497億円(2016年度)のうち、3分の1強の9737億円が稲作に対する予算として組まれている。しかし、稲作の産出額は15年間で2兆円減った。その結果、15年の稲作農家戸数は約7割を占めるが、コメの販売額比率はわずか17%に過ぎない。片や畜産と野菜は伸びている。

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