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イベントレポート

『農業経営者』、農村経営研究会2018年新年会



攻めの農業の
逆風となる米価維持

この5年、農政は保護農政から攻めの農政へと転換した。グローバル化する市場の変化を見極め、それに見合った輸出体制や農業構造を作り上げようとしている。13年から進められている「攻めの農林水産業」政策の趣旨は、需要を拡大し、付加価値を向上させ、生産現場を強化するというものだ。目標は、20年に輸出額1兆円。六次産業化などのフードバリューチェーンの構築による産出額10兆円。酪農の六次産業化500件。23年には、農地集積やコストダウン、経営者の増加などによって所得を倍増させること。そのために、生産調整廃止、農協改革、総合的なTPP等関連施策大綱、農業競争力強化プログラムが打ち出された。17年9月には、コメ海外市場拡大戦略プロジェクトが発足し、輸出企業は44社、産地は約200の法人、団体が手を挙げた。
しかし、70年続いてきた稲作偏重農政はいまだに根強いものがある。農政は今後、輸出などの6つのKPI(目標値)の検証と評価として成果を示すことが必要となってくるが、米価維持のままでは逆風のなかを進んでいる感じがする。
米価維持派は後退しているが、今後も飼料用米政策という隠れ米価維持と生産調整は続く。結果、土地生産性は下がる。国際競争力も下がる。国家に保護を求める意識が残る。経営感覚のある人は稲作を敬遠する。早晩この政策をなんとかしないと、ますます日本の稲作は衰退する。
米価維持には次の4つの「不都合な真実」がある。1つ目は需要に向き合わない稲作産業は衰退するということ。2つ目は米価が中長期的には下がること。国内需要が縮小するにつれ、高価格ブランドの市場も縮小するからである。毎年8万t減少しているといわれているが、実際にはこの10年で年平均13.7万tの供給が減少している。3つ目は米価が上がると輸入が増えるということ。家庭用米は過剰で、業務用米が不足している。安い業務用米市場が伸びているなか、国産の米価が上がれば、輸入のコメが増えるというのが現実である。4つ目は輸出も低価格によって可能になること。93年のガット・ウルグアイラウンド以降、日本が米価維持をしている間、欧州は低農産物価格下で輸出のための力をため込み、00年以降に急激に輸出を伸ばしている。この対応の違いが現在の日本と欧米との輸出額の開きに表われている。

成長のための政策課題

農業が成長するためのポイントはシンプルである。農家に、子供が後継者となるには、いくらの販売額や所得が必要かを聞くと、おおよそ最低1000万円の販売額、450万~500万円の所得という答えが返ってくる。また、農業成長県と衰退県との違いは経営者の数の差にある。経営者の数の差は生産性の差にある。生産性の差は作っている作物の差である。農業が成長している県は畜産と野菜で、経営者も生産性も維持している。コメに頼っている県は、生産性も低く、衰退してきた。

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