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新・農業経営者ルポ

地域を活性化し、人口減少に歯止めをかけた集落営農法人

地域のことを行政に委ねるだけでいいのだろうか。住民自身が地域を活性化させるために何かできるのではないか。広島県東広島市の小田地区では、平成の大合併を機に住民が現状に対して疑問を抱き、自らの手で地域を元気にしたいと「小さな役場」と「小さな農協」を作った。「ピンチはチャンス」の逆転の発想で住民の意見をまとめ上げるのに一役買ったのが、小さな農協に当たる農事組合法人ファーム・おだ顧問の吉弘昌昭(79)だった。 文・写真/窪田新之助・山口亮子、写真提供/ファーム・おだ
今回、ファーム・おだを訪問しようと思ったきっかけは、筆者(山口亮子)の出自と切っても切り離せないので、少し自己紹介をさせていただきたい。筆者は愛媛県南西部の山間の集落の出身で、今年31歳になる。中山間地で、実家の農地は山間と谷間に点在しており、全部で1haに満たない。最近やっと基盤整備をして、それでも1枚の田んぼが30?aいけばいいほうという条件不利地だ。
通っていた小学校の児童数は入学時に60人余りいたが、卒業時には30人を切っていた。集落は物心ついたころには限界集落になっており、中学校に通うのに使っていたバス路線は、高校に上がると同時に廃線になってしまった。小学校はちょうど5年前の2013年3月末に閉校した。
閉校になった小学校をどうするかという議論が住民の間でされる前に、福祉法人から介護付き有料老人ホームとして活用したいという申し出があり、その要望どおりに事態は進んだ。廃校になってから2年ほど後に小学校を再訪した。校庭まで建物を増築しており、かつて遊んだ校庭に張り出したガラス張りの共有スペースに、介護職員に付き添われた車椅子の老人がいるのが見えた。寂しいとか悲しいとかいう単純な言葉では表現できない、感情の波に襲われたのを覚えている。
小学校がなくなるということは、過疎高齢化の進行する地域にとって避けては通れない通過儀礼だ。地域の連帯感や結束力はこれを分岐点に一気に失われる場合が多い。その危機に面して、今回取り上げる小田地区は住民自身が地域の課題に向き合い、解決方法を探っていく自治組織「共和の郷・おだ」を作った。小学校の旧校舎を「小さな役場」にし、地域に活気をもたらしているというその存在を2年ほど前に知って以来、ずっと訪れたいと思ってきた。

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