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新・農業経営者ルポ

地域を活性化し、人口減少に歯止めをかけた集落営農法人


吉弘は農地を守り、集落を崩壊させずに農業を維持・発展させるには集落の農業を法人化するしかないと考えた。
「個人でやる農業にそこまでの危機が来ているということは大変なことです。ピンチはチャンスと言いますね。なぜなら、農家の皆様の思いが共有できるからです。では、個人で農業ができないのなら、こういう方法はどうですかと提案して、小田の場合は幸い同感して行動してくれる人がおった」
法人化という発想がぱっと思い浮かんだのは、吉弘が広島県で集落営農の法人数を劇的に伸ばした立役者だからだ。広島県内には現在272の集落法人がある。その数の激増は、集落内で法人化を率いるリーダーを育成する「集落法人リーダー養成講座」の開催によるところが大きい。2001~04年にかけて広島県農業会議でこれを主導していたのが吉弘だった。広島県は農業をするうえでの条件が悪く、個別経営が成り立ちにくいため、集落営農を勧めたが、なかなか設立に至らなかった。
「一番必要だったのはリーダーの養成だったんです。個人の経営はわかっていても、法人経営はなかなか経験した人が少ない。したがって、自信を持ってやってもらうためには、まずリーダーを育てようと、
リーダー養成講座を始めたんです。これが最大のポイントです」
こうして、法人の設立方法や手続き、事業計画の立案、税務、会計などを学ぶ講座を開いたところ、設立数が伸びていったのだ。
農業会議時代に培ったノウハウは、小田地区で法人を立ち上げる際に大いに役立った。2005年2月から50回にわたって話し合いの場を設けた。農業会議のリーダー養成講座の「ミニ版」(吉弘)として「共和塾」を開き、地区内のリーダー20人に学んでもらう機会も作った。こうしてその年の11月、ファーム・おだ設立にこぎ着けた。

一番大事なのは人づくり

「同志を増やしていったから、設立までは9カ月で早いほうでした」
経営に必要な人、物、金、情報という要素の中で、一番不足するのが人だと吉弘は言う。今のご時世、情報はあり余っている。金と物も工面すればなんとかなる。そんな中で、人はどうにもならない。人の養成を最重視するという考え方の正しさが地元の小田での法人設立でも証明された。組織を小学校単位にしたのも、そのくらいの広さにすればある程度人材がそろうからだ。
こうしてできた同社は、設立当初から成果を上げていく。法人設立時に機械を地域にない大型のものだけ購入し、格納庫などは地域にあるものを活用したところ、かかった費用は6200万円だった。法人化前には機械を個別の経営ごとに買っていたので、これを試算してみると地域全体で機械に7億3000万円もの投資をしていたことになった。法人化による機械の効率化の威力は歴然としている。

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