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特集

追悼 松尾 雅彦


商品属性として松尾さんが重視されたのは(1)食感、(2)香ばしさ、(3)商品鮮度である。特に食感は後に続く堅あげポテト、じゃがりこ、フルグラなどカルビー商品の重要な製品属性となっている。食感・香ばしさ・鮮度を実現するためにサプライチェーン全体で解決するという仕組みを松尾さんが強力に推進された。すなわち、ジャガイモ種子(品種)―圃場―原料流通(貯蔵)―前処理―加工―調味―包装―在庫―製品流通―店頭という10のプロセス(図1)である。特にジャガイモ品種~貯蔵が製品品質とコストに大きく影響する。ジャガイモという生原料であるがゆえにジャガイモ圃場、原料貯蔵庫のバラツキ管理を重視され、そのために原料から製品までのトレーサビリティを完成させることになった。これがカルビーグループ最大の強みで、この仕組みはポテトチップスのみならず「堅あげポテト」や「じゃがりこ」にもいかんなく発揮された(図2)。

【カルビーポテトチップス 食感・香ばしさ・鮮度】

カルビーの看板商品で薄くジャガイモをスライスしてフライするというシンプルな商品である。当時はパッケージのキャッチコピーに「パリッと新鮮」と書かれていた。現在は“新鮮”は当たり前なので「パリッとおいしい」となっている。フライ製品なので油の劣化対策が重要課題だった。油の選択、製造工程管理はもちろんのこと、今は当たり前であるが当時業界初のアルミ蒸着フィルムと窒素充填包装を行なった。ここまではまだ通常考えられるところだが、ここからがユニークなことである。上記10プロセスの包装~店頭に工夫がある。まず賞味期限と製造年月日を袋の前面(通常は裏面)に印字し、お客様が商品の鮮度がすぐにわかるようにした。商品が店頭で速く回転するために営業担当者が店頭を巡回し日付けが遅くなった商品を値引き販売するなど店頭起点のプロモーションを行ない、鮮度の良い商品が店頭で並ぶようにした。味のバリエーションも季節限定、地域限定商品を発売し、“うす味、のり塩、コンソメパンチ”のベーシック商品と味替わりを組み合わせて常に店頭をにぎやかに、楽しくさせて商品の回転を上げた。味の多様化により開発と工場が鍛えられた。
看板商品のコンソメパンチをリニューアルした時のことだが、大型商品のリニューアルというのはなかなか厄介である。開発担当者と試行錯誤していた時のことであるが、ちょうどアサヒのスーパードライが「コクがあってキレがある」というキャッチフレーズで大ヒットしていた。松尾さんから「阿紀さん、これで行きましょう」というヒントをいただいた。コンソメの味を追求し、味がくどくなりすぎていないかということである。あくまで主役はジャガイモである。ロングラン商品にとって大変重要なことだった。

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