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江刺の稲

ジャガイモ産業からスマート・テロワールへ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第262回 2018年03月29日

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もう一つの再掲載記事である菅野祥孝氏との対談はその理念をさらに深く伝えるものであり、共に農業関連企業でありながら業種の違う二人の言葉と経営思想の一致は農業経営者に限らずすべての農業にかかわる人々に読んでいただきたい内容である。松尾氏はそこでプラウメーカーのスガノから農業経営者そしてカルビーやその商品を販売する小売業者までが、お互いがそれぞれを尊重して連携するアライアンス(同盟関係)を持つことの大事さを語っている。
本誌がたびたび「目線の揃う異業種によるネットワーク」という表現を使い、さまざまなセミナーで農業経営者だけでなく異業種の人々に参加を求めてきたのは松尾氏のこの理念を広げるためだった。
今月号には掲載できなかったが、本誌のネット版(農業ビジネス)で皆様に読んでいただきたい松尾氏のインタビューがもう一つある。1998年12月発行の35号に掲載されている「お客様とお天道様という二人の神様の間に立って」という編集長インタビューである。
その年にカルビーはジャガイモの不作を理由としてジャガイモ商品の「欠品」をするというお詫び広告を出した。そのことを僕は、怠慢や悪意による欠品とは違う農業と消費者をつなぐ「善意の欠品」であると思い、松尾氏にインタビューを求めたのである。「欠品ゼロ」という当時の流通の常識がもたらす弊害を考えながら。松尾氏はこの僕の言葉に
「それは褒めすぎ」だと言いつつも商品流通についての考えを披露している。これもぜひとも読んでいただきたい。
こうして松尾氏の言葉と事業を振り返ってみると、ジャガイモ産業を作り上げてきた事業活動から最晩年のスマート・テロワールによる新たな農村経営の実現に向けての取り組みとがまったく同じ理念と論理において行なわれていたことがよくわかるはずだ。

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