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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

会社経営の会計処理の要点(3)減価償却と部門別の原価計算

“割り勘”文化は日本特有

今年の冬は北海道に限らず全国的にもれなく寒く雪が多かったように思う。そんな冬の風物詩といえば、勉強会に講習会、講演会である。
スマートフォンやタブレットなどの電子手帳を信用していない私は、12月に下ろしたばかりの手帳と昨年の手帳を開いて、携帯電話を片手に予定を組み、牛舎での作業日以外はあちらこちらに出かける。当然ながら付随して飲み会の誘いが増え、財布と自身の健康、そして留守を託す家族に気を配りつつも、貴重な情報収集の場を楽しむことにしている。
さて、飲み会といえば、接待などを除けば、「割り勘」が会計ルールの主流であろう。いわずもがな費用を人数で割り、均等に負担する支払方法のことである。正しくは割り前勘定といい、「前」は金額や分量を表す接尾語である。近頃は農業経営者同士ならともかく役所や関係機関の方々が同席されていれば尚のこと、割り勘が必要条件になっている。しかし、それは我が国だけの“常識”で、そもそも割り勘の概念が存在しない国、または割り勘に相当する言葉自体が存在しない国が多いのだ。国を問わず世界的に飲み会やパーティーの多くは、主催する側が全額支払うのが一般的である。折角なので、割り勘の起源を見てみよう。
日本の割り勘の概念を作ったのは、江戸時代の浮世絵師で戯作者の山東京伝だといわれている。ネタ集めの廓(くるわ)通いにお金をかける一方で、細かい金勘定でその費用を捻出し、商売のお金には手をつけず、細かい金勘定でやり繰りをしたらしい。飲み会の最中に参加者の頭割りで代金を計算したのもその一例で、「京伝勘定」と揶揄されたほどである。もう一つエピソードが残っているのは、日露戦争で流行したという「兵隊勘定」という言い回しである。明日の生死が定かではないから、兵隊同士、貸し借りなしで均等に負担するという説は、なかなか理にかなっているように思う。
また同じアジアでも中国や韓国では、割り勘は相手を侮辱する行為とされ、アジア人を見分ける際に「食事後に割り勘で支払うのが日本人」というジョークがあるそうだ。所変わって、英語の辞書で割り勘を引くと「Dutch Treat(オランダ人のおごりの意味)」という表現が出てくる。最近では使われなくなったようだが、大航海時代にオランダ人を敵視したイギリスで生まれた言い回しで相手を小馬鹿にしているのは言うまでもない。いずれにしても調べてみると、皮肉な言い回しに代表されるように、割り勘がケチの発想として世界的に嫌われる慣習であることがわかる。
一方、なぜ日本には割り勘の文化が定着したのか。おそらく、昭和の高度成長までの日本は、貧しい国だったことが背景にあるだろう。手持ちのお金が限られている民衆にとって、割り勘で飲み食いしたり、会を結成して会費をやりくりしたり、高額の出費を抑える工夫をすることで互いにしのいでいたように思う。

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