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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

オランダ 94年以降、EUの先駆者に

大麻にも寛容なお国柄

オランダといえば、マリファナに限らず売春や安楽死が合法で、同性愛もいち早く容認した、ある意味で世界トップクラスの「自由」を謳歌する国として知られている。
昔から港町として栄えた首都アムステルダムは、さまざまな人種が集まる場所であり、歴史的に迫害された人々を受け入れてきたことから寛容な文化的背景を育んできた。政策においても1976年のアヘン法改正以降、「薬物乱用は公衆衛生の問題であって犯罪ではない」という考え方を支持している。具体的には、1人当たり30?gまでのマリファナの所持・使用については、違法だが取り締まりの優先順位が低く、犯罪として立件されない。したがって街の至るところに、コーヒーショップと呼ばれるマリファナの販売所がある。
ヘンプの歴史はほかの国と同様に数千年に及ぶ。古くから交易が盛んで、帆船のロープや帆布にヘンプがよく利用されていたが、イギリスの産業革命後の綿花産業や生糸産業によって、オランダのヘンプ産業は徐々に衰退へと追い込まれていった。冬の農閑期にヘンプの茎から繊維を剥ぐ作業をしていた農家が、代わりにチーズをつくるようになったといわれている。いまではオランダ国内の6割を占めるゴーダのチーズ市場も、もともとはヘンプの市場だったという。
こうした歴史を学ぶのに格好なのは、アムステルダムの街なかに85年にオープンした大麻博物館だ。世界中の大麻に関する歴史的な出来事から生活史、産業史、植物誌をたどることができる。全部で6000点以上の展示物を誇り、いまでは年間10万人が来場する観光スポットになっている(図1)。

嗜好用で得た利益を産業用ヘンプの拡大発展に

EUの共通農業政策(CAP)に基づく補助金制度には、70年より産業用ヘンプ(Hemp)と亜麻(Flax)の項目がある。この制度の活用を思い付いたのは、ヨーロッパ産業用ヘンプ協会の前会長ジョン・ホブソン氏が創業したイギリスのヘンプコア社で、93年に政府から許可を得て産業用ヘンプの栽培を始めた。翌94年にオランダで本格的な栽培を復活させたのが、ヘンプフラックス社だ。

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