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新・農業経営者ルポ

高橋がなりに鍛えられたナンパ師のまっとうな農業

農家の嫁不足が叫ばれて久しい。彼女のいない後継者が集まっては出会いがないなどと互いを慰め合う光景はよくあることだろう。そんななか、ぶどう園の後継ぎである内田秀典(40)はかつて、ナンパで積極的に女性と交流し、農家代表と名乗ってサラリーマンの友人たちと渡り合った。プライベートが充実する一方で、仕事に夢や希望を描けなかった彼は、30代を目前にしてとある会社に一時的に就職するのだが、そこで待ち受けていたのは過酷すぎる現実だった。 文・人物撮影/永井佳史、写真提供/保命園
内田が営農する岡崎市は、愛知県のほぼ中央に位置し、温暖な気候と肥沃な大地に恵まれて多種多様な農業が展開されている。周辺の自動車関連産業の発展と比例し、人口が1958年から増加の一途をたどっているのが特徴だ(注:2010年4月1日時点で一旦減少)。
内田とはいまから10年ほど前に東京のどこかで会っている。そのとき、彼は筆者や周りにいた農業青年に向かってこんな発言をしていた。
「よくナンパしていたんだ」
当時の内田は、農業の生産から物流、販売を一貫して手がける国立ファーム(有)に籍を置いていた。それから数年後に実家のぶどう園へ戻る。ナンパや会社勤めで培った経験がその後の経営に多大なる影響を及ぼしているに違いないと思って取材に臨んだのだった。

ナンパに明け暮れた青春時代

久しぶりに対面した内田は、こちらがびっくりとするほど落ち着き払い、恐縮していた。左手の薬指には結婚指輪もはめてあった。
「ルポって『農業経営者』の顔となる場所じゃないですか。なので、今回はドキドキしているんです」
内田は国立ファーム時代に小誌を読んでいた。同社の社長は「アグリの猫」という連載を持っていた高橋がなり(以下、がなり)である。アダルトビデオメーカーのソフト・オン・デマンドの創業者で、日本テレビの「¥マネーの虎」への出演でも知られる。

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