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バラエティ番組では、「グルメの旅」「バスツアーでグルメ」「物産展食べつくし」「ローカル線グルメ旅」「農家メシ」「漁師飯」と旅や街にいざなう形で食を取り上げ、地上波(13番組)・BS(9番組)よりCS(49番組)が圧倒的に多い。ワイドショーに関してはCS(27番組)では「ブランド牛100%の牛丼」「仙台自慢の逸品」「ショップの厳選フード」「1缶に丸々1個分りんごストレートジュース」「甘さスッキリ桃のシロップ漬け」などいくつかの通販枠の商品紹介があるが、圧倒的に多いのは朝や午前中を中心に情報・ワイドショー(34番組)で「筍粋な楽しみ方」「北海道物産展に潜入」「次のブームはコレだ!!」などがニュースの合間に流れている。グルメのTVジャックに輪をかけているのが、夕方から始まる地上波ニュース番組(10番組)でのグルメの紹介や、BSにおける趣味教養ドキュメンタリー番組としての「地域とそこにまつわるグルメ」の紹介だ。
ニュース番組のワイドショー化はいまに始まったことではない。1990年代前半から政治経済などのハードニュースに対して芸能・トレンド・スポーツなどソフトニュースの比率が高くなり、2000年以降ニュース番組の再編成を機にニュース番組が長時間化すると、ソフトニュースはさらに増加した。その後、2008年のリーマンショックによる収益悪化で番組制作費が削減され、消費者の関心を引くことができるグルメは低予算で視聴率を獲得できるお金のかからない企画として位置づけられた。
従来、食やグルメに関するテレビでのPRは、スポンサー料を支払うコマーシャルによって行なわれた。いまでは1社提供のドキュメンタリー番組が減り、報道・バラエティ・ワイドショーの垣根のなくなった生活情報番組がほとんどを占めている。小さな商品や店でも頑張れば番組で取り上げられることも多くなった。たとえば、2012年以降にテレビ番組で紹介された飲食店数は延べ16万軒だ。4月7日の1日間だけ見ても95軒の飲食店がテレビに出現している。オンエア総回数204回の浅草花月堂本店、188回のつきじ喜代村すしざんまい本店、110回のレストラン大宮(浅草)といったレジェンド級もあるが、オンエア回数数回の飲食店がテレビで連日取り上げられているうちに、「テレビで飲食店を取り上げて放映する」というやり方が陳腐化し、テレビとともに食や農の情報はもうたくさんと消費者に飽きられてしまわないか心配だ。
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松田恭子 マツダキョウコ
(株)結アソシエイト
代表取締役
日本能率協会総合研究所で公共系地域計画コンサルタントとして10年間勤務後、東京農業大学国際食糧情報学科助手を経て農業コンサルタントとして独立。実需者と生産者の連携の仕組みづくりや産地ブランド戦略を支援している。日本政策金融公庫農業経営上級アドバイザー試験合格者。(株)結アソシエイト代表取締役。
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