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編集長インタビュー

新生スガノは原点「白の理念」を忘れない 乗っ取り騒動の真相と再建への道筋

プラウメーカーとして独自の存在感を示してきたスガノ農機。社長交替をめぐって社内紛争に至ってから約1年が経つ。昨年12月、渡邊信夫氏が新たに代表取締役に就任、再建へのスタートを切った。その渡邊氏に聞いたスガノの「これまで」と「これから」。 構成/加藤祐子

農機については素人でも経営の基本は同じ

昆吉則(本誌編集長) スガノ農機(株)(以下、スガノ)の社内紛争が起きて約1年が経過しました。その間、本誌では2回にわたる特集を組み、長年ともに歩んできた顧客との対話をやめたことに抗議の姿勢を示して事態を見守ってきました。その後、昨年12月に渡邊信夫代表取締役が就任され、会社の再建に向けて一丸となって取り組みを始めています。今日は、渡邊社長にスガノの近況とこれからの展望についてお話を伺いたいと思います。
渡邊信夫(スガノ農機(株)代表取締役) 昨年の弊社の社内紛争におきましては、菅野充八氏(以下、充八氏)が主導した旧経営陣と、大森聡氏(以下、大森氏)率いる前経営陣の対立に、全従業員と組合が巻き込まれただけでなく、スガノ製品を利用いただいている農家の皆様、お取引先、納入業者、金融機関等をも巻き込む状況に発展し、大変ご迷惑をおかけしました。改めてお詫び申し上げたいと思います。旧経営陣と組合とが事態の鎮静化に努めた結果、オーナー型経営を脱却することで事態を収拾することになりました。
昆 充八氏も役員を下りて、経営からは離れたのですか? 
渡邊 はい。私のほかに新たに代表取締役専務に品田裕司が就き、常務取締役に田井中秀公、取締役に大江充久、非常勤監査役に隈元慶幸が就任し、前社長の村井信仁氏には顧問をお願いしています。ただ、スガノにとって創業家の存在は大きいと承知していますので、菅野鋭三氏には実質的に経営に関わらない監査役に就いていただきました。2月末に株主総会を開いて、前期の営業概況を報告し、今期はこういうことをやりますということを発表しました。3月頭より新しい人事配置を発表してようやく新体制で動き始めたところです。
昆 スガノの社長という役回りをお引き受けになった経緯を差し支えない範囲で教えていただけますか。
渡邊 私は百貨店の三越の出身ですが、母校の関西学院大学が東京に拠点を作ることになった際に声をかけられまして、責任者として大学の運営に携わりました。65歳で定年を迎えたときに、投資ファンドの下で老舗の和食器卸「たち吉」を再建するプロジェクトから依頼が入りました。百貨店時代から知らない会社ではなかったので依頼を受け入れ、15年4月に社長に就きました。1年目で黒字化を実現したものの、人件費をコストとみなしてリストラを敢行したいファンドと意見が合わなくなり、退任することになり、その直後にスガノのお話をいただきました。

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