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昆 これまでに農機業界とはご縁があったのですか?
渡邊 いえ、ありません。まったく縁のない業界でしたから、はじめはお断りしていました。でも、充八氏に面会したときに、彼はうちの社員はダメだとはっきり言ったんですね。その瞬間に、彼が自分の会社の社員を信用していないことがわかりました。誰もやらないという話も聞きまして、このままだと170~180名の社員が不幸になると。私自身はあと何年やれるかわかりませんけど、最後のご奉公だと思ってやりましょうとお引き受けした次第です。
昆 就任されてから3カ月ほどが経ち、社内外からいろいろなお話を見聞きするなかで、就任当初とは認識が変わってこられたと思いますが、いかがでしょうか?
渡邊 当然、「農業がわかるのか」「機械のことがわかるのか」「製造業がわかるのか」という批判を受けるのは百も承知のことです。業界におけるテクニカルな部分だとか知識の部分は後からでも学習できると思いますが、仕事とは何かですとか、自分が経営するという立場に立ったときに従業員をどう捉えるのか、従業員が家族を含めて幸せになるためにはどうするのかといったところは、正直なところ業界問わず同じだと思っています。
昆 会社を経営する上では重要な根っこの部分ですね。
渡邊 はい。スガノという会社は、あの混乱期でも売上高35億円という業績を上げられるのですから、この人たちが持っている力をもう1割でも伸ばしてあげれば、あるいはモチベーションを上げれば、もっともっと良くなると信じています。
経営乗っ取り騒動の真相
昆 さて、昨年の騒動についてはどう捉えていらっしゃいますか?
渡邊 充八氏の“金正日体制”にしろ、乗っ取った大森氏の“サダムフセイン体制”にしろ、いずれも経営陣が社員に恐怖政治を強いていたわけです。上位下達で上からの命令を下に伝えて動かすのは早いんですけど、本当の会社の強みとは違うと思っています。たとえばトヨタが強いのは“カイゼン”があるからですね。上から命じられてどうこうするのではなく、いま携わっているところでこうしたらもっと効率が上がる、もっと利益が上がると一人ひとりの社員が自分の仕事を通じて会社の利益に貢献するんです。
昆 スガノの強みはお客様と結びつきの強い現場の営業にありました。それが近年は上からの意向を口にしたり、自由に動き回れなくなっているように感じていました。
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渡邊信夫 ワタナベノブオ
代表取締役
スガノ農機(株)
1949年大阪府生まれ。関西学院大学を卒業後、71年に三越へ入社。営業推進部長、購買管理部長などを歴任。2002年に関西学院大学東京キャンパス長に就き、約10年間大学運営に携わる。退官後、企業再生プロジェクトに参画する。15年4月に老舗の和食器卸・小売業、(株)たち吉の代表取締役社長に就任し、「たち吉」ブランドの復権を懸けて初年度に黒字化を達成するなど企業再建に尽力(17年6月に退任)。17年12月より現職。
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