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渡邊 大森氏がやったのは「俺の言うとおりにやれ」と言ってやらせることでしたから、そこから出た利益にはなんの意味もありません。次の瞬間に同じことはできませんので。
昆 社内では過去最高利益が出たという話があったようですね。
渡邊 決算資料を見れば明白ですが、昨年の上期の売上高はマイナスでした。下期はさらに減っています。仕入れの抑制をかけたことによって形の上では利益が出たことになっていますけれども、売り上げが下がったのに過去最高の利益なんて出るわけありません。
昆 過去最高益を出すために仕入れを減らすなんて馬鹿げてますよ。
渡邊 おっしゃるとおりです。新たな外国製品や必要な原材料の購入を一切やめていましたので、次の期になって製品をつくりたくても原材料がないわけです。私が着任してからは原材料を大量に買わせていますから、昨年11月までの決算では仕掛品がものすごく増えています。
昆 大森氏は何を狙っていたのでしょうか。
渡邊 おそらく彼は会社を売却してそのキャピタルゲイン(売買差益)だけを取って逃げようという腹だったと私は思っています。社員のためと盛んに主張していましたが、賞与の積み立てすら下期はまったくやっていませんでした。充八氏の頃にはちゃんと積み立てていましたから。
昆 開発の担当者が「個別的な要請は一切受けません」と発言して大反発を受けたこともありましたね。
渡邊 あの発言は、大森氏が言わせたんですね。会社を売り払うつもりだったら、別注品なんて受けたら時間がかかってしょうがありません。全部そこに行きつくんですね。
昆 いつ頃逃げるつもりだったんでしょうか?
渡邊 昨年の秋頃には売り切って会社から出るつもりだったのでしょう。ただし途中で計画が狂ったわけです。当初は充八氏VS大森氏という形で、充八氏を解任して自ら社長になりましたが、充八氏は51%の株を持っていますから当然取締役を解任することができます。これでは戦えません。
昆 それでセクハラやパワハラで訴えたわけですね。
渡邊 大森氏は要するに労使紛争に持っていきました。「セクハラはないですか?」「パワハラはないですか?」と社員に聞きまくって、管理職ユニオンを連れ込んで充八氏を訴える手法をとりました。それでもまだ勝てないんですよ。その次に何を意図したかというと、お取引いただいているトラクターメーカー様三社から役員を派遣してもらおうという動きをしています。この三社から役員が入って自分のほうに味方してくれたら勝てると。結果的には、三社ともから断れていますが……。
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渡邊信夫 ワタナベノブオ
代表取締役
スガノ農機(株)
1949年大阪府生まれ。関西学院大学を卒業後、71年に三越へ入社。営業推進部長、購買管理部長などを歴任。2002年に関西学院大学東京キャンパス長に就き、約10年間大学運営に携わる。退官後、企業再生プロジェクトに参画する。15年4月に老舗の和食器卸・小売業、(株)たち吉の代表取締役社長に就任し、「たち吉」ブランドの復権を懸けて初年度に黒字化を達成するなど企業再建に尽力(17年6月に退任)。17年12月より現職。
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