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編集長インタビュー

新生スガノは原点「白の理念」を忘れない 乗っ取り騒動の真相と再建への道筋


昆 その局面では管理職ユニオンが関わっていたことが毛嫌いされたということでしょうか?
渡邊 はい、そのようです。そこは大森氏の計算違いだったと思います。私が着任してわずか1カ月で、大森氏が息をかけた、簡単にいえば給料をガンガン上げてやって札束で頬っぺたを叩きながら言うことを聞かせた社員のほぼ全員が新体制に従ってくれました。ここでも想定外のことが起きたんだと思います。
昆 訴訟はまだ残っていますか?
渡邊 充八氏が退任直前に社員を訴えたものについては、私の責任で退職予定の一人を除いてすべて取り下げました。社員を訴えても仕方がありません。充八氏としても根本は「打倒!大森氏」だったのでしょうから、まずは取り下げて正常化させようと思います。そのほかの案件についてもなるべく早く解決できるように弁護士の先生方と相談しています。

社員はコスト(費用)かアセット(経営資源)か

昆 スガノという会社のここはいいところだと感じておられる点を教えていただけますか?
渡邊 真っ先に挙げたいのは、社員の皆が本当に会社を好きなことです。そして社員はみな純朴で真面目です。その分、新しい情報に対しては疎い部分があり、口のうまい連中にはコロっと騙されてしまう部分もあったのでしょう。でも、お客様に対してもとても誠実に接することができますし、菅野祥孝氏(3代目社長)が掲げた「白の理念」がどこかに染みついていると感じます。
昆 だからこそ彼らはお客様に寄り添えるのではないでしょうか。
渡邊 農機具はお客様にとっては日々使うものですから、何かトラブルがあったらすぐに対応しようというマインドを皆が持っています。その意味では、否が応にもお客様との距離が近くなっている気がします。
昆 農家のなかでも良質なお客様に出会ってきていますからね。
渡邊 その辺りは菅野祥孝という男が素晴らしかったと思います。とくに農業と自分の会社の製品というモノに対するロイヤリティは非常に高かったという風に思います。私が「白の理念」をもう一度掲げているのは、祥孝氏が掲げられたことを大事にしますよという証なんです。
昆 昨年の騒動では矢面に立たされた社員もいると思いますが、営業所の体制など新たな人員配置はどう考えておられますか。
渡邊 これまでにいろんな組織を引っ張ってきましたけれども、基本的にはそこにいる人で組織運営をします。外部から人財を持ってこないで、組織内の人間を育てます。そうしないと本当の意味で組織に力は付きません。事業再生のなかでは人はコスト(費用)かアセット(経営資源)かという話があります。綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、私は、人はうまく育てればどんどん力を発揮するのでアセットだと考えています。人をコストにするのは簡単で、やる気をなくさせればいいんです。モチベーションを下げれば間違いなくコストになります。ですから、アセットにするためにはモチベーションをどう上げるかという仕組みと働かせ方を考えなければなりません。

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