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昆 新しい人事を決める前にすべての社員と面談をされたそうですね。
渡邊 時間をかけて一人ひとりと話をしました。その辺りは業界に関係なく、モチベーションを上げるためには、その人がどんな能力を保有しているか、その人が何を望んでいるかをきちんと掴むことが必要です。賃金や待遇、取り組む仕事もあるでしょうし、いろいろな要素があると思います。その上で、人事を決めました。
昆 いわゆる「懲罰人事」はやらないということですか?
渡邊 こういう騒動の後は「あいつが悪かった」「こいつがこういう動きをした」と懲罰的な人事をやりがちですけれども、たかが180名にも満たない社員でそれをやってもうまくいきません。逆に言えば、ある程度実力があるからそういう立ち回りをしてきたメンバーですので、経営陣の紛争に巻き込まれた犠牲者という見方もできると思います。ですから、いわゆる原点に戻るよという認識を示して、それに共感してくれた社員とは一緒にやっていこうというスタンスをとっていきます。
商品開発の根源はアイディアを持つお客様
昆 営業マンの話題でもお客様との距離感について触れましたが、百貨店でご経験されていた部分と共通するところはありますか?
渡邊 百貨店時代は、営業から経理、総務までいろいろと渡り歩きました。そのなかで基本的にはお客様を大事にしないと、自分のところの商売は成り立たないということは徹底して教え込まれています。もちろん店頭にお越しになるお客様と、こちらから足を運ぶ外商のお客様、両方いらっしゃいます。
昆 もちろん個人も法人もいらっしゃると……。
渡邊 そうですね。私どもにとっては、すべてお客様という考え方は百貨店と変わりがないんですよ。たとえば、土を考える会の会員さんもお客様ですし、農機メーカーさんもお客様ですし、販売店もそうです。ただ、実際に購入いただくのはエンドユーザーですから、ともかくその声を聞くということを徹底してやらないとダメだと思っています。
昆 おっしゃるとおりですね。技術部門の方々にも営業マンと一緒にその声を聞いて回るということも必要でしょうね。
渡邊 工場の人間は難しいと思いますが、開発部門のメンバーにはお客様のところに足を運ばせようと思っています。充八氏の時代に頭でっかちの若手を多く入れたことが開発を動かなくしたネックにもなっていますから。
昆 爆発的に売れたプラソイラもバーチカルハローシーダーも千葉の瀧島秀樹さんのアイディアで生まれた商品です。現場で一緒にアイディアを絞って商品化してきたのに、昨今は営業マンがそうしたお客様のところに長居をしていると咎められることもあったそうですから。そういう部分から取り戻していくと、営業マンも動きやすくなるのではないでしょうか。
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渡邊信夫 ワタナベノブオ
代表取締役
スガノ農機(株)
1949年大阪府生まれ。関西学院大学を卒業後、71年に三越へ入社。営業推進部長、購買管理部長などを歴任。2002年に関西学院大学東京キャンパス長に就き、約10年間大学運営に携わる。退官後、企業再生プロジェクトに参画する。15年4月に老舗の和食器卸・小売業、(株)たち吉の代表取締役社長に就任し、「たち吉」ブランドの復権を懸けて初年度に黒字化を達成するなど企業再建に尽力(17年6月に退任)。17年12月より現職。
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