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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農村社会と集落の話(1)取り巻く環境の変遷と住み心地から考える


一つ目は、図3に示したとおり、専業農家率が向上していることである。平たく例えると、これは農業だけでご飯をお腹いっぱい食べられる農家が増えたことを証明している。また、農産物の販売金額別で2000万円以上の農家の比率も伸びている。北海道ではとくに顕著な数字が出ている(表1)。これは食卓のおかずが豊富になったと言えよう。農家戸数の減少とか担い手が減ったとか、遊休農地が増えているとかを課題に挙げて騒いでも仕方ない。農業界の士気を下げるだけである。もっと良い点をしっかり見て、伸ばすように考えるべきである。
次に、出荷先だが、農協一辺倒から、選択肢が増えている。農産物の販売がないと回答した農業経営体がまだ約1割もいることはおそろしいが、苦労しながらも農協以外への販路を見つけ、直売所やインターネット経由での消費者への直販など自ら市場開拓するようになった証として捉えれば、まともな産業になりつつあると理解できよう。
全国の農業経営体のうち、18%で農業生産関連産業を行なっているという数字もある。私の会社でも、この4月から農業現場で役立つ便利グッズの直輸入と販売の事業を開始し、英語のビジネスメールの書き方を目下勉強している。関連事業の割合は頭打ちだが、勝負はこれからである。本業で収益のベースを作り、サイドビジネスで楽しく経営をする。農業経営の選択肢が増えることは、素晴らしいことだと思う。
最後に労働力の変化を挙げよう。農業界の雇用は全国的に増加傾向である。常雇いあるいは臨時雇いをしている経営体数は重複があるものの、05年からの10年間でそれぞれ倍に増えた。なかでも常雇いされている人は全国ベースで12万人を突破した。農村に雇用する経営体が増えれば、それだけ田舎に働く場所が増えることになる。
どうしたら、農業を発展期から安定発展期に導けるのか。統計データを眺める物差しで重要なのは、産業としての質がどのくらい上がっているかである。政府が提供する統計データの窓口(e-Stat)は今年からリニューアルされ、より検索しやすくなった。各経営の数字も重要だが、農村社会を取り巻く情勢も数字で追いかけておきたいものである。

夢を叶えたい若者こそ農村で快適に暮らせる

上手にインターネット社会に順応し、生活するための仕事が成立できれば、自然環境がよい田舎は、生活圏としては上級の環境である。ただ課題もあろう。それは年齢である。そこで、分かりやすい数字を一つ示しておく。図4に示したのは、年齢階級別のスマートフォン・パソコンなどの使用目的別行動者率である。これを見ると、若者ほどデジタル社会への順応性が高いことがわかる。従来のコミュニケーションツールで交流の幅を広げられる方は少数派だということだ。

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