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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

ドイツ ~環境にやさしいヘンプ製品の先駆け~



ゼロから栽培農家を探しマーケット開拓に翻弄

ドイツ国内での産業化に尽力した人物に、書籍『ハンフ』の影響を受けてBaFa社を創設したベルント・フランク氏がいる。70年代のドイツ国内で発生した公害問題をきっかけに環境保護に熱心な緑の党の考え方に共感し、政治的な活動ではなく農業と工業とが一緒になってできる何かを探していて産業用ヘンプに出会ったという。BaFa社では、栽培農家から収穫物であるヘンプの藁束や種子を購入し、それを工場で繊維とオガラに分離し、種子を調製し、二次加工会社に販売する作業を担う。
96年に産業用ヘンプの栽培が解禁された時点では、1ha当たり約12万円の補助金(09年に全額廃止)が支給されたものの、すぐに栽培する農家は現れなかった。最初に声をかけたのは、隣に住む畜産を中心に150ha規模の牧草・畑作も手がける複合経営の農家で、私が訪ねた03年には20?haを産業用ヘンプに充てていた。契約農家は次第に増え、事業化して7年目の03年にBaFa社の売上高は190万ユーロ(約2憶6000万円)となり、ようやく単年度黒字を達成した。フランク氏がゼロから事業を立ち上げるなかでとくに苦労したのは、(1)栽培農家探しとその条件交渉、(2)繊維とオガラを機械的に分離する工場ラインの技術確立(丸1年を要した)、(3)生産物(繊維、オガラ、種子)のマーケット開拓の3つだったと教えてくれた。

繊維はエコな断熱材と自動車の内装材に

BaFa社で分離された繊維は、二次加工会社で多様な商品に生まれ変わる。たとえばホック社では断熱材に加工され、「テルモハンフ」というブランド名で商品化されている。同社を設立したホック女史はフランク氏とタッグを組み、2年間をかけてヘンプ断熱材の製造ラインを開発した。以前に住宅の内装施工会社を夫婦で経営していたが、従業員が断熱材としてグラスウールを扱うときにチクチク刺さったり、粉じんに悩まされているのを気の毒に思ったことが動機になったという。開発をスタートした96年当初、産業用ヘンプに理解のある大学の研究者は見つからず、栽培に補助を出した政府でさえ用途拡大に関わる研究開発には補助を付けなかった。そこで自ら出資先を募り、2年間の開発費用と会社設立にかかる費用を合わせた約400万ユーロ(約5億6000万円)を9社からの出資で工面したそうだ。ヘンプ断熱材を採用してもらうために販売会社向けのセミナーの開催や見本市への出展を積極的に行ない、00年には日本で開催した見本市にも足を運んでいる。現在、契約している建材販売会社や建築関係者は約2000社に及ぶ。

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