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土門「辛」聞

「全農改革」にマーケットが突きつけた通知簿


疑問に思ったのは、製造にかかるコストの会計上の区分である。通常、売上高の増減の影響を受けるコストを変動費、売上高とは関係なく一定のコストを固定費と呼ぶ。全農が、ライバルの商人系メーカーとは異なる区分けをしていることは新たな発見だった。
その理由はいずれ解明したいと思うが、ここでは全農の原価区分に従って公表した資料を参考に分析してみる。
全農の説明は、「製造固定費を引き下げ」「配送コストを圧縮」という2つの要因によって価格引き下げを実現したものだ。製造固定費削減の具体的な内容は、「従来の全国400銘柄を17銘柄に絞り込み」「入札によりメーカー数を14社33工場から8社13工場に削減」だった。
その製造固定費、全農特有の定義らしい。前述の経産省実態調査を参考にすると、彼らの原価区分で固定費は唯一加工費。全農が、加工費のみを製造固定費にしているのか、原材料費以外のすべての経費を製造固定費としているのか、よく分からない。ここは固定費に着目して全農が固定費に区分けした加工費16.1%という数字を参考にしてみた。
「取組状況」が示す「概ね1~3割の価格引き下げを実現」が可能かどうか。その数字を前提に計算してみたら、計算上、加工費をほぼ半分にしないと1割の価格引き下げの実現は無理だ。3割引き下げということになれば、加工費ゼロで注文を受けることになり、常識ではあり得ない。あるとしたら、比較対象となる価格がよほど高かったということになるはずだ。ちなみに製造コストの6割以上を占める原材料費は、すでに総合商社と共同購入などでコストを下げてきているので、これ以上下げることは難しい。
全農の原価区分を無視して、原材料費以外の経費を対象にした場合でも、「取組状況」が示した引き下げ幅を実現するには、3割近いコストダウンが必要となる。
「1割の価格引き下げ」にはカラクリがあった。昨年の「年次計画」に、18年春肥からは配送料別立て料金と書いてあるからだ。
「従来の全国一律持込渡し価格を工場戸前渡し価格に変更(JA・工場間の距離に応じた工場戸前渡し価格の設定)」「価格と諸経費を区別して請求」
何のことはない、配送費抜きの本体価格を従来価格と比較して、その差と銘柄絞り込みや工場集約による効果を合わせて「1~3割の価格引き下げ」と称したにすぎない。掛け値なしなら「数%の引き下げ」というのが正確な表現だろう。

高コスト体質の系統メーカーが大半落札

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