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土門「辛」聞

「全農改革」にマーケットが突きつけた通知簿


全農には系列の運送会社がある。一般運送会社と違って料金が高いことは噂で聞いたことがある。しかもその料金は、肥料配送の場合、距離の遠近にかかわらず一律料金だった。「取組状況」は、この悪しき慣例を廃して、なおかつ「価格と諸経費を区別して請求」とあるから、配送費を別立てで請求することにしたのであろう。
本来、「取組状況」に価格を比較した根拠をきちんと明示しておくべきだった。いかにも全農らしい横着なやり方だ。
全農は、「年次計画」で発注先を選ぶのに入札制を導入すると約束していた。落札メーカーは8社。社名を確認できたのは、次の5社だ。片倉コープアグリ(株)、ジェイカムアグリ(株)、セントラル化成(株)、朝日工業(株)、エムシー・ファーティコム(株)。
肥料メーカーは、資本系列、会社の沿革、主たる納入先などから系統メーカー、商人系メーカーというカテゴリーに分けている。厳密な区分けではなく、商人系メーカーであっても全農や農協に納入するメーカーもある。その区分けからすると、8社のうち商人系の色が濃いとみられているのは、三菱商事系のエムシー・ファーティコムぐらいか。結局、入札制を採用したというものの、落札したのは全農系列のメーカーが大半という結果になった。
国内の化成肥料メーカーは約250社。生産量の95%は上位17社が担う。系統・商人系という色分けからすると、数の上では商人系メーカーの方が多い。落札8社のうち系統メーカーが大半を占めたというのは、単なる偶然の産物とは思えない。
「1~3割の価格引き下げを実現」を装うべく、最初から全農によって仕組まれた入札と言ったら叱られるだろうか。
系統メーカーへの集中理由は、実にシンプル。全農は、そうした系列メーカーに肥料原料を納入しているからで、そもそも系列メーカーを外すことは最初から無理な話だった。厳密な意味での入札制を実施していれば、全農系列のメーカーで落札できたのは、1、2社あったかどうか。全農系列のメーカーは、ライバルの商系メーカーに比べて、製造コストがあまりにも高すぎるからだ。
高度化成肥料(オール15)を例に1俵(20kg)あたりの製造コストで比較してみると、差が出るのは、原材料費以外の経費ということで、全農系列のメーカーは、商系メーカーと比べて倍以上は高い。
全農の全農らしいところではあるが、製造諸経費がなぜ倍以上もかかるのか。その構造分析をした形跡はない。今回は入札や銘柄絞り込みや工場集約などでお茶を濁すことができたが、その高コスト構造に大なたを振ることはしなかった。

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