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イベントレポート

連続シンポ 北海道酪農の歩みと将来展望


そして、加工品に関しては、町村農場では、練乳ではなく、原点としてバターを作っていた。最近は6次産業化という酪農経営が出てきたものの、これまでは乳牛農家、加工業と分業が続いていたが、そんななかで町村農場では乳製品まで手がけている。
これからの酪農がどのような方向へ向かうのか非常に興味があるところではないかと考える。

質問:いまの酪農情勢と、青天井で搾れる状況で経営拡大してメガファームになる一方で、土・草・牛という酪農は大きくかけ離れていっていると思うが、その点についてどのような見解を持たれているか。
宇都宮氏:ここ先々の酪農をどのようにしたらよいのか正直難しい。ただ、自分の頭の中では日本の労働人口が減る、ここ一点に集約している。昭和40、50年ごろのように、頑張ればすべてが報われるということにはならない。資金があっても建設業界の人手不足で牛舎が立てられないという状況も考えられる。中期的な目標を立てないと不安だ。法人化する牧場も、家族経営の牧場もさまざまな困難なことが起きるだろう。そのため、家族経営で酪農をしつつ、メガファームに出資をして二足の草鞋を履く方法や、町村さんのように乳製品の加工販売に力を入れていく方法もあるだろう。宇都宮牧場のある長沼町は非常に景色が良く、新千歳空港にも近い。現に町内でグリーンツーリズムなどをしている。こういったことを加味しつつ、ファームインのような事業の多角化をおぼろげに考えている。
町村氏:難しい質問だ。これから人口が減るのは間違いない。酪農産業ではそれ以上の勢いで酪農家が減っている。とくに府県のほうが非常に弱体化しているように思う。おそらく今後は北海道が否が応でも肩代わりしていかなければならない。そういう意味で、変な言い方だが、北海道酪農の未来は安定していくのでは。それに見合った規模の拡大は一つの経営方法だろうが、そこにかける投資額が普通に10億、20億となるとあまりにも大きすぎる。どんな機械でも壊れ、その周期が回ってくる。ここ5年、10年先がどうなるのか気になっている。いまの環境では決して大幅な規模の拡大はしないが、そのような道を否定するものでもないと考える。
質問:循環型酪農の考え方について。
宇都宮氏:宇都宮牧場では、飼料やふん尿は牧場内で賄い、処理している。自分の生産基盤の中で、きちんと処理還元していけば循環、そういう意識でやっている。
町村氏:現状ではなんとかできている。ただ、もっと良いやり方、適正なやり方はあると思う。自分が農場に戻って26年経ち、いまのマネージャーが上手にやってくれている。

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