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特集

コメ流通最新動向を読み解く

この号が読者のお手元に届くころ、田植えはすでに終了していることだろう。「減反」撤廃元年、作付状況はほぼ昨年並みとの予測が出されていた。ただ、個々の農家は厳しい決断を迫られたに違いない。田植え直前になって、3年にわたり上昇していた米価が予想外の下落に転じた。そこには来年以降の作付けをどうするか、ヒントが隠されている。(コーディネート:土門剛)

コメを知り尽くした記者が最新取材メモを一挙に公開
30年産以降のコメ業界はこう動

熊野 孝文 (株)米穀新聞社記者

値上がりを続けていたコメが、ここにきて下落に転じた。大方の予想を裏切る想定外の動きでもある。生産者や流通業者の思惑が複雑に絡む事態。そこではコメ政策の根本まで問われてくる。 (編集部)

【環境が急変する30年産米】

4月20日に行なわれた大阪堂島商品取引所(以下、堂島取)の東京コメ4月限納会はあっさりと1万4000円を割り込んで1万3790円まで急落、29年産の関東産や福島県産米1400俵が受け渡しされた。
29年産米は飼料用米増産政策の効果もあって主食用米の作付面積が減少、加えて作柄も芳しくなかったことから供給量が絞られ、米穀業界では需給がタイトになるとの予測から収穫期以降右肩上がりに値上がりしてきた。
コメ卸団体や全農の需給見通しでも今年10月末の年度末在庫は27万tからそれ以下という予測(表1)もあり、端境期はかなり厳しい需給状況になると見られていた。ところが4月に入って千葉など早場産地で田植えが始まると予想に反して現物市場が値下がりしはじめた。
この時期になっての値下がりは想定外の出来事であり、生産調整の配分がなくなった30年産に与える影響は大きく、コメ政策そのものの在り方が問われる事態に発展する可能性もある。

【想定外の29年産米値下がり東京コメ1万4000円割れ】

農水省が今年2月27日に公表した1月末現在の30年産主食用米作付動向は「29年産と比較すると増加傾向6県、前年並み傾向36県、減少傾向5県と見込まれる」というものであった。

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