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特集

コメ流通最新動向を読み解く


こうして高値でスタートした米価が3月中旬から下落に転じたのである。3年連続で値上がりしているツケが、8万tを上回る需要の減少を招き、在庫増、価格下落へとつながったのである。
私の会社が主に扱っている特定米穀(くず米・篩下米)も同じである。28年産の特定米穀は発生量が少なく、端境期にかけて一段高となった。その流れのまま29年産が入ってきたので高値でスタートしたが、前年対比で3割発生量が多かったことと、実需者がMA米にシフトした影響があいまって、やはり3月中旬から下落に転じた。
下落の予兆は2月にあった。顧客から「安くしてくれ」という声が届いたのである。相場下落を肌で感じた同業他社から「安くていいから買ってくれ」という申し入れがあったのだという。
主食用米の実需者は、コメが高値であれば、丼飯なり寿司のシャリなりを減らし、仕入れ量を減らす。そうなって初めて産地側が「意外と買いに来ない」と気づき、一斉に「売り」が出始めたのである。

【高値に賭けるか契約栽培で安定取引するか】

29年産については、これから「玉」が出てくるわけではないので、大きく下がることはないだろう。また、30年産は、29年産に比べて1俵1000円ぐらい安値でスタートすると見ている。29年産の高値を見た生産者が主食用米をつくろうとするので、生産目標の735万tで収まらないのではないだろうか。7月に発表される食糧部会の需要量の下方修正を見れば明らかになる。
コメ流通業界にとっては、スタート時に高値で、後から下落していくというのが、最も悪いパターンである。前述のように需要も減るので、生産者にとっても良くないことだろう。
卸業としては、これ以上の高値は勘弁してほしいというのが本音だ。とくに特定米穀は全体で30万~50万tという量なので、相場の影響をもろに受ける。24年産の大暴騰と26年産の大暴落は、本当に厳しかった。24年産は、高い仕入れ値をそのまま顧客への販売額に転嫁できず、26年産は、仕入れ値が平均約35円/kgという飼料のような値だった。その安値から一転し、一昨年からは3年連続上昇である。
生産者はどう考えるのだろう。今後も高値が続くと賭けて安値になるリスクを負うか、契約栽培で安定取引をするか。加工用米は一般的に契約栽培である。もちろん、高値の主食用米を選んでも良いだろう。
ただし、全国にそういう生産者が増えれば米価の下落は必至だ。私は、主食用米も契約栽培にしたほうが良いと思っている。なぜなら、生産者と実需者、私たち卸業、皆が安定するからである。

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