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特集

コメ流通最新動向を読み解く


表5は冒頭に記した農水省が公表した30年産米作付動向の用途別詳細だが、ここに政府備蓄米がこうした結果になると予想できる数値がはっきり出ている。表に記されているように政府備蓄米の生産が増えるという県はゼロであるのに対して減少する県は29県にもなる。対照的なのが新市場開拓用米(輸出用米等)で減る県はゼロで増える県が27県にもなっている。
なぜカッコ書きで輸出用米等と記されているかと言うと、もろに輸出用米に助成金を支給するとWTO協定に抵触する可能性があるためで、新規需要開拓米というくくりのなかで、低コストでコメを生産してそれを輸出用に回したという格好にすることによって輸出補助金とみなされることを回避するという苦肉の策。策はどうであれ輸出用として国産米が海外に出ていけば、そのぶん国内でのだぶつきを解消できる。
驚くべきことに農水省は、各地に配分した産地交付金の使い道について「輸出用米への産地交付金の単価には上限を設けない」という青天井宣言をした。
産地交付金はその産地の再生協議会等が協議してどの作物にいくら交付するのか決めるのが筋だが、農水省は県との追加配分協議で盛んに輸出用米への助成金を上乗せするように働きかけている。さらにはその認定について輸出業者と産地との契約書さえあれば輸出国先への契約書はなくても助成金を支給すると言っている。おまけに輸出期限は設けないとしており、とにかく30年産を輸出するという契約書さえあれば助成対象になる。

【30年産米を通してコメ政策の根本が問われる】

農水省がこれほどまでにコメの輸出に躍起になっているのは、国の成長戦略のなかに国産農産物食品の輸出が入っていることもあるが、それよりも政治的に米価の下落を押しとどめる策として使われている。コメ生産者のなかにも「輸出用米政策は第二の売り急ぎ防止策だ」と看破している生産者もいる。
輸出用米については産地交付金の上乗せだけでなく、別途海外でもコメ・コメ関連食品のプロモーション等に16億円もの予算が計上されている。その目標値は平成30年までに10万tを輸出するというもので、29年産が1万tであったので10倍の量ということになる。果たしてそれが可能なのか?
輸出戦略事業者として名乗りを上げた上位3社にその戦略を聞いてみるといずれの企業も「国産米の価格が安ければ」という前提条件が付く。なかには60kg当たり7000円から8000円という具体的な価格を示す大手卸もおり、かなりハードルが高い。契約締め切り期限は今年の6月末だが、輸出業者が求めるような価格で契約に応じる産地は限られると予想される。

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