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特集

コメ流通最新動向を読み解く


そもそも飼料用米増産政策で主食用米の供給を絞って価格を上げる政策をとっているにも関わらず、高い国産米を輸出しろと言う方が無理な相談である。さらにはコメの価格を上げて消費を減らすという政策が正しいのか? それを推進する莫大な予算はいつまで続くのか? 30年産米はそうした根本的なコメ政策の在り方まで問われてくることになりそうだ。

(株)百姓王(千葉県富津市)おもしろくて役に立つコントラクター

コメの未来に大きく立ちふさがる後継者問題。政策としても住民の活動としても、各地で打開策が講じられているなかからユニークな取り組みをひとつ紹介する。

『ONE PIECE』の主人公ルフィはこう言った――おれは海賊王になる!!?そのルフィが何か事を起こすとき、いつものように口にするのが「おもしれ~」。百姓王という社名は、海賊王にちなんだわけでもなさそうだが、イメージはかぶってくる。何より株式会社としては型破りなのだ。

【メンバー全員が株主 専任がいない型破り】

東京湾に面した千葉県富津市。かつて住民たちの多くが半農半漁を生業としていたこの地域は、製鉄所などの沿岸進出に伴い、今では農と漁(ノリ養殖など)に分かれ、それぞれ専業化した。農業を選択した住民にとって、コメづくりの環境はよくない。標高数メートルほどの低地。狭くて排水の悪い水田。単収も概して低い。メリットがあるとすれば、栽培期間が長いことくらいだろう。稲刈りは8月お盆前後から11月までできる。
そんな富津で、農地所有適格法人株式会社百姓王は平成26年に設立された。前身は2年ほど前までさかのぼる。JAきみつ富津青壮年部の有志が近隣農家から農作業を受託するようになったあと、富津営農集団「百姓王」を設立。その後、法人化に至っている。
「農協に頼るのではなく、自分たちで自由にやりたい、農協から自立した事業をしたいと思っていました。すでに農協の青年部でコンバイン事業は経験している。オペレーターもいる。採算の目途も立っていたから始めた事業です」(CEO森田泰彰さん、以下同じ)
法人形態の選択に当たっては、農水省からのアドバイスに従ったらしい。取材時にいただいた取締役の名刺にはCEOとかCFOの肩書が記載されていた。一般的な営農組織とは異なり、農業分野に新規参入したような企業をイメージされるかもしれない。
ところが実態は大きく違う。取材時に話を聞いた事務所内は雑然としていた。固定電話さえ置いていない。事務所らしきものといえば、業務の予定や報告を手書きで書き込んだノートが置かれているくらいか。それでも仕事は回る。大方の連絡はスマホですむ。必要なときには、農協のスタッフが取り次いでくれる。

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