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特集

コメ流通最新動向を読み解く


しかも、百姓王には専任スタッフはおろか、社員もいない。メンバー全員が株主。1株10万円を何株か出資したうえでメンバーになる。このあたりは協同組合的ともいっていいだろう。
現場作業をこなすのも、その株主たちだ。勤務時間や出勤日の規定なんてなし。メンバー間で都合を調整しながらチームを組んで仕事にあたる。日当は一律1万2000円。メンバー間で差はない。メンバー同士で仕事の依頼をするときも無料にはせず、日当1万円にしている(百姓王の仕事とは別立て)。
「日当は給料ではなく、メンバーへの作業委託。損しない程度の額にしています。新規就農者には、1日1万2000円払うから来いよといって参加をよびかけました。10日も働けば1株分は回収できる計算になります」

【地域から寄せられるコントラクターへの期待】

「最初は農協の下請けでした。それを自分たちで仕切るようになった。農協にとっても、そのほうがかえって都合いいみたいですね。喜んでもらってます」
百姓王は活動開始後、様々な事業に取り組んできた。活動範囲は、今までのところJAきみつ管内(富津市、君津市、袖ヶ浦市)。水田関係に限れば、作業受託と耕作放棄地の活用があげられる。受託作業料は1反当たり田植えが1万8000円、稲刈りが1万7000円。コントラクターとしての地域からの期待は大きい。依頼はいくらでもくる。対応しきれず知り合いに振ったりすることもあるほどだ。
再生農地は全面的に管理を受託している。その水田15?haでは、おもに飼料用米やWCS(ホール・クロップ・サイレージ)をつくっている。主食用米もつくるが、こちらは地主への「年貢」用だ。
WCSは、生産者と連携して平成27年から本格的に始めた。補助事業を使ってラッピングマシーンも導入。JAを通じて酪農家に販売(完売)している。栽培面積は、30?haを超えた年もあるが、最近は20?haほど。
水田以外には、再生農地での野菜栽培、ハウスの建設や修理、特産野菜(メロンやトマトなど)の輸出、自社ブランド肥料の販売などにも取り組んでいる。
「自分がやっているのとは違う農業をやるのがおもしろい。他人のやり方を見ることで、自分の仕事の改善につなげることもできます」

【農水「優等生」のタテマエとは違う顔】

会社設立時に15人だったメンバーは現在22人に増えた。40代が多い。富津営農集団として立ち上げたとき、リーダー格の森田泰彰さんは37歳だった。メンバーそれぞれは自分の仕事を別にもっている。大半は水田や施設園芸を中心とした専業農家だが、なかには潜水漁などの漁師もいる。半農半漁の伝統はまだ残っているのだろう。百姓王としての仕事は、得意分野を活かしながら自分の仕事に支障がないかぎりでする。

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