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シリーズ追悼 松尾雅彦

「日本で最も美しい村」連合に込めた志


そこで、町村の境界線を越えた風土が同じ「テロワール」、つまり広域連合の自給圏をつくれば、雇用が生まれて人口が維持されると考えた。つまり、「テロワール」のなかに「最も美しい村」がある。そんな構想を描いたのである。

あなたの世代は未来に何を遺すのか

松尾さんには印象的な表情がある。優しいけれど、厳しい目で見ている。
「加藤さんの夢は何なんだよ。あなたの世代は、何を遺すんだ」
団塊の世代に当たる1946年~1949年生まれは、約700万人いる。団塊の世代が日本の将来を決めると言っていた。
松尾さんは、父の孝氏が亡くなった歳の91歳まで生きると言っていた。それでも時間がないので、早く形を見せたいと言っていた。自分が経験したことを残さなければならない、語らなければならないと。
「加藤さん、長野県には、アルプスの景観があり、棚田もあり、林業があり、チーズもあり、ワインもある。木曽バレー、伊那バレー、千曲川バレーと呼ぶのはどうだろう」
松尾さんが語る言葉には夢があった。
「結局は、人生って夢なんだから。美しいもの、美味しいものに反対する人は誰もいないんだよ。地球環境に負荷をかけたくないっていう人も、たくさんいるんだよ。だから間違いなく夢を描いていく人はたくさんいるから」

「日本で最も美しい村」連合 松尾雅彦氏は立ち上げに貢献し、
副会長を務めた。 

本連合は、市町村合併が促進されるなか、2005年10月、「フランスの最も美しい村」協会という運動をモデルに、7つの自治体が集まって発足した。過疎にある町や村が「日本で最も美しい村」を宣言することによって、住民が地域に誇りを持ち、自然と人の営みによる美しさに磨きをかけ、自立した地域づくりに努めることを目的としている。「自然と人間の営みが長い年月をかけて作り上げた本当に美しい日本を未来に遺したい、小さくてもオンリーワンの輝きを持つ日本の美しい村を」が理念。
組織は、会長を筆頭とする理事会(事業委員会と資格委員会)と、正会員(加盟した自治体、サポーター、組織設立への貢献者)、準会員で構成。自治体の加盟資格は、概ね人口1万人未満の町や村で、2つ以上の地域資源を持ち、自治体の議会で承認されることである。2010年4月、「世界で最も美しい村連合」に加盟。フランスと日本のほか、ベルギーのワロン地方、カナダのケベック州、イタリア、スペインが加盟している。

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