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農業技術進化系

北海道のテンサイ生産者は除草の悩みから解放されるか


では、なぜ手取り除草が必要になってしまうのか。一つは、除草剤の組み合わせ方が適切でないケースだが、これは現場ではあまりないと考えられる。問題は、もう一つのケースで、除草剤散布に適した時期を逸することだ。広葉雑草に効く除草剤は、雑草が生長しすぎてしまうと効かなくなってしまう。
時期を逸してしまう背景には、生産者1戸当たりのテンサイの作付面積が拡大していることがある。離農者の土地を引き受けた生産者も人手不足の状況にある。昨今の変わりやすい気象も重なり、除草剤散布に手が回らなくなる。また、大規模であるほど、手がかかる移植から直播にシフトする傾向にある。テンサイの除草剤は、ほとんどが本葉二葉期以降にしか散布することができないことになっているため、直播は雑草と競合する時期の防除が難しい。
さらに、土壌中に残った雑草の種が数年後に生えてくることも起きる。こうして手取り除草をせざるを得なくなってしまう。
新規除草剤と「KWS 8K879」を組み合わせて一般栽培されるようになれば、雑草のリスクと、手取り除草という負担から、生産者を解放することになる。

前途多難も、日本初の品種認定に向け、模索が始まる

実際には、導入までにはかなりの年数がかかると見込まれている。
輸入されたテンサイ系統は、道総研の「てん菜輸入品種検定試験(北海道てん菜協会委託)」という品種選定試験を行ない、北海道で栽培した場合に、糖の収量性、褐斑病や黒根病をはじめとした耐病性などを複数年かけて調査し、選ばれた系統が優良品種に認定される。
今回は、北見農試が中心となり、日甜の主力品種「カーベ2K314」と比較し、品種の特性を調査する。優良品種認定のためにはこの調査が最低3年かかる。また、この系統と組み合わせて使用されることになる新規除草剤は国内未登録のため、並行して公益財団法人日本植物調節剤研究協会を通じて除草剤試験を3年間行なう。除草剤は、作物があって初めて国の農薬登録が可能になるため、抵抗性品種が優良品種に認定されてから、さらに農薬登録作業には約2年かかる。つまり、順調に適性が確認できても、品種と除草剤がセットで世に出るには最低5年かかる。
では、5年後には、認定の可能性があるかというと、正直、「未定」というのが北見農試の見解だ。
「KWS 8K879」が優良品種に認定されるには、主力品種に比べ優位な品種かどうかが指標になる。昨年の予備試験の結果では、主力品種より収量性は1割程度少なくなる可能性があることがわかった。また、病害抵抗性がやや弱い傾向にあった。とくに、昨今の温暖化の影響で病気が発生しやすい傾向にあるなか、テンサイの育成にあたっては、耐病性がますます重視されているため、認定へのハードルはまだ高いと考えられる。

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