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一方のB市は、住民から集めた市町村税の割合が高く、教育や福祉・医療など住民が直接関わる分野に充てる費用が多いようだ。農業者は就業者の1割にも満たないことからも、農業を産業の主軸と捉えていない印象を受ける。ほかの産業もそこそこにあるため、農協もまた交付金比率の高い品目に依存した運営に陥りやすくなる。しかし、平場の恵まれた条件の田畑が多いからといって、コメづくりと麦・大豆の水田転作頼みの農業経営を選択していては農業経営のリスクは必然的に高くなる。圃場の大区画化を実施したり、麦・大豆以外の畑作物を取り入れた7~8品目の輪作体系を確立したりするほうが農業経営の醍醐味を味わえるだろう。政策転換によって期待していた恩恵を受けられなくなっても、ダメージが少ないからだ。
2つの田舎について、多面的に数値を拾って解説してみたが、それぞれの町には見合う農業経営のスタイルがある。その地域性が経営者の実現したいことと一致すれば、「とことん田舎」であっても「そこそこの田舎」であっても適地になるというのが私の持論である。逆に、地域性に合わない農業を展開しようとすれば苦労の絶えない経営を強いられることだろう。「とことん田舎」だからこそダイナミックな農業ができるのではないか。農村社会や地方創生を考えるうえで求められているのは、こうした条件不利地域ゆえに知恵を絞ることであり、それこそが田舎の生き残りの道であろうと思う。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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