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土門「辛」聞

農林中金の利払い圧縮は農協経営にどう影響するか


農林中金は、経営戦略上、信連や農協に払う奨励金や配当の中身をブラックボックスにしている。別段、公表すべき性質のものとは思わないが、資金調達の重要なツールの一つと位置づけている。信連や農協から預金を集めたいときには、先に説明したように、利息を高くしたり、預金量に応じた事業分量配当のようなものを出したりする。利息を奨励金と呼んできたのは、一昔前には、農林中金に預金が集まらなかったという状況があったからだろう。
利息の呼び方が信連や農協によってマチマチなのは、あまり褒められた話ではない。

なぜ農林中金は高金利が支払えるのか

一般読者が、この記事を読んでもっとも驚くのは、系統預け金につく利息の高さだろう。銀行がこの種の大口預金につけるとしたら、5年ものでせいぜい0.3%程度の金利。
一般預金者なら、その一桁低い金利しかつかない。それも5年定期で年利0.01%がやっとだ。農林中金が、これだけの高金利を払える事情を探ってみよう。
数年前から農林中金を扱う場合、新聞や雑誌は、「農協系統組織のセントラルバンク」とか「世界有数の機関投資家」という形容句を添えてくる。とくに後者は、最近、メディアが好んで使う表現だ。農林中金がどんな金融機関かを説明するのに、メガバンクでトップの三菱UFJ銀行(18年3月までの行名は三菱東京UFJ銀行)と経営比較をしてみた(表2)。
まず着目していただきたいのは、預貸率と預証率だ。預金残高に対する貸付金、そして有価証券類での運用比率を示したものである。預貸率では三菱UFJ銀行がトリプルスコアぐらいの差で貸付金が多い。逆に預証率では農林中金が同じくトリプルスコアに近いぐらい有価証券類での運用が多い。新聞や雑誌が「機関投資家」と形容句をつけるのは、このためだ。
大きく違う点があるとしたら従業員数だ。三菱UFJは、約3万5000人なのに、農林中金は、その約10分の1。農林中金にリテールがないことを示す数字だ。そのリテールは信連や農協などが引き受けているのだ。
運用利回りにも着目していただきたい(表3)。取り上げたのは、00年度以降、直近の16年度までの17年間。ホームページで検索可能な最大限の期間だ。農林中金の利回りは図抜けている。やはり投資銀行と商業銀行の差が出ているようだ。
ところが不思議なことは、総資産に対する経常利益率が三菱UFJ銀行より低いことだ。ここから浮かび上がってくるのは、農林中金は、稼いだ利益のかなりの部分を信連や農協などへの利払いに充てているという構図だ。日経新聞が書いた「0.1~0.2%圧縮」というのは、世間並みとは言わないが、それに近い水準にまで利息を下げさせて欲しいという期待願望を示しているのであろう。

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