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新・農業経営者ルポ

ソバージュ栽培トマト界のキング、ここに見参


「元々トマトを作るのは嫌だったんです。カネをかけて施設を建てたり、芽欠きや葉欠きをしたり、きれいに1個1個取ったり……。200品目にしてもばら詰めが基本でした」
そんなときに出会ったのが、種苗の販売に加え、この技術と調理用トマトの普及を推進しようとしていたパイオニアエコサイエンス(株)の永田裕だった。同社のスイートコーンのことで話していると、トマトの新技術を逆提案された。苗の余りがあったら声をかけてほしいと頼むと、即座に連絡が入った。トマトの栽培経験はあったため、半信半疑ながらなんとなく流れで試してみることにした。
芽欠きが不要ということもあり、その姿はまさしくジャングルで、周りから何をやっているんだと言われても返す言葉がなかった。それでも、1年目から上々の結果を叩き出す。9cmポットが24本、畝にすれば10?mから着手したものが倍々ゲームで、昨年は1000本、面積にして20?aまで拡大した。
販売はズッキーニの取引先と直売所に全量を納められるようになっていた。一部出品の直売所では食べ方までは提案せずに陳列した。来客から尋ねられたときはアイコ(注:果肉が厚くてゼリーが少ない長卵型のミニトマト)に似ているとだけ答えた。
鎌塚にとってのソバージュ栽培トマトのメリットは、半ば放任状態の省力化や、露地栽培でU字支柱、ネット、それにマルチフィルムのみの生産コストの低さだけではない。端境期というもう一つの要素がある。ズッキーニのところで真逆のことを述べたが、ここでの端境期とは生育期間の条件から秋でも収穫が可能だということだ。さらに、通常のトマトと異なり、摘み取りは3日に1回で十分と来ている。
「そもそも低コストですので価格競争力があります。そのうえで端境期の最も高いときでキロ4000円を付けました。ちょうど9月とか10月のその時期は売り物がほとんどないので助かっています」
だが、鎌塚は高値での販売を意図していない。ソバージュ栽培トマトについてはある目的のためにあえてキロ5、600円で流通させようとしている。
「パイオニアが提供する『マウロの地中海トマト』シリーズは全部作っています。管理しきれないので品種を絞ってきたなか、今年は調理用の『サンマルツァーノ リゼルバ』に一本化しました(注:試験栽培を除く)。この品種はとにかく割れづらいんです。でも、いくらおいしくても値段が高ければ買ってもらえません。私がターゲットにしているのは高級なイタリアンではなく、客単価が1500円程度のお店です。究極的にはサイゼリヤが使ってくれる単価まで落としたり、スーパーで売っている輸入のトマト缶と肩を並べられるようにしたいです。いわば調理用トマトの文化の確立ですね。パイオニアの永田さんと話したんですけど、打倒はみそ汁の原料になる大豆だったりします。特別な日に食べるトマトスープでは需要が伸びませんので、そういった大豆とかと張り合わないといけません。私の見込みではキロ100円での生産も可能だと踏んでいます」

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