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スマート・テロワール通信

なぜ地域の循環に取り組むのか

長野県では、行政主導で、2017年から5カ年計画の地域食料自給圏実証実験プロジェクトを進めている。並行して、民間では、NPO法人信州まちづくり研究会は、「東信自給圏をつくろう」を合言葉に活動している。NPOは5月17日、通常総会を開催し、記念講演の講師として、長野県知事の阿部守一氏と、鹿児島県の農業法人(株)さかうえ代表取締役の坂上隆氏を招聘した。この日、NPOの理事長に就任した安江高亮氏は、冒頭の挨拶で、東信自給圏を官民共同でつくる自給圏のモデルにしたいと語った。
以下、2人の講演の内容を紹介する。

地域内でお金を循環させ、長野を活性化

阿部知事は講演で、長野県がなぜ自給圏構想に取り組むことにしたのか、その背景を解説した。
自給圏構想は長野県政の政策に組み込まれている。長野県では、「しあわせ信州創造プラン」という政策の下、6つの基本方針を掲げており、そのなかの1つに「産業の生産性が高い県づくり」という方針がある。この方針を実現するために、今年4月、「地域内経済循環の促進」という計画が明確に打ち出された。つまり、地域のなかでお金を循環させるという自給圏構想を示したのである。
「地域内経済循環の促進」の具体的な中身は、次の4つだ。
・地消地産の推進・県産品消費拡大
・信州農畜産物の活用拡大
・信州の木自給圏の構築
・エネルギー自立地域の確立
阿部知事が、地域のなかでお金を循環させようと考えた背景には、次の問題意識がある。日本は化石燃料の輸入国であり、長野県は、そのうち約4000億円弱の化石燃料を買っている。15年の食料自給率で見ると、生産額ベースでは123%あるが、カロリーベースでは54%にとどまる。13年の県収支を見ると、支出が収入を約8000億円(推定)上回っている。長野県民は、パンや豆腐としてたくさん消費しているが、その原料となる小麦や大豆は海外に依存している。

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