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スマート・テロワール通信

なぜ地域の循環に取り組むのか


その打ち手とは、鮮度戦略である。ポテトチップスをつくってから、つくりたてのうちに、できるだけ早くお客様に手にとっていただけるような状況をつくるというものだ。営業担当は、それまで卸売や小売に売り込むことが仕事だった。しかし、この戦略によって、店舗にあるポテトチップの鮮度をよくすることが営業担当の仕事になった。この営業革新は、カルビー社内やスナック業界で語り継がれている。

【「バカ」な戦略に「なるほど」という理由がある】

このカルビーのビジョンや打ち手は、常識で考えるとおかしいものだったかもしれない。
こういう常識から逸脱した戦略のことを、神戸大学の吉原英樹先生が「バカなる戦略」といっている。(「『バカな』と『なるほど』」(PHP出版2014年)
いままでの常識からいったら、「ありえない」「そんな馬鹿な」と思われる。しかし、よく考えたらなるほどと思わせる理由がある。
『スマート・テロワール』を読んだ人のなかには、従来の常識からは逸脱していると感じる人もいるかもしれない。「水田を畑地に変える」「地域の人が日常的に食べているものをつくる」など、これまでのコメ中心の農業や農政に骨の髄まで絡め取られてしまっている考え方からは「ありえない」と一蹴されてしまうことだろう。
しかし、よくよく考えると、従来のコメ中心の農業や農政には未来を担う力がもはや失われているという厳しい現実に思い至る。コメとともに畑作と畜産を柱に据える地域自給圏の提言は「なるほど!」と思わせるビジョンであり戦略なのである。

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