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長野県川上村は、八ヶ岳の裾野に広がる高原地帯である。標高は、取引先である(株)まつのの集荷センターのあたりで約1250mあり、夏でも冷涼な気候がレタスの栽培に適している。
川上村では戦後間もなくのころから、駐留米軍向けにレタスの作付けが始まり、以来、主要産地としての地位を築いてきた。川上村に入ると一面にレタス畑が広がっている。
川上レタスの収穫シーズンの6月から9月は、深夜2時ごろから作業を始める。まだ暗いので、照明を使って明かりをとりながらの作業である。気温が上がりレタスの芯温が上がる前に作業を終え、契約で決まっている量を、その日のうちに出荷し、その日のうちに各地の流通センターに届けるためである。
【品質にこだわる姿を研修者に見せる】
古原氏は、規格どおりのサイズのほか、品質へのこだわりも強い。有機肥料を投入した土づくりに始まり、定植、防除、収穫まで、食味と形の美しさにこだわっている。
研修に参加したまつのの従業員たちには、土づくりの方法や、その土がレタスの食味を良くするメカニズムを伝えている。
また、古原氏は、収穫作業は、最後にレタスの品質が決まってしまうときだと考えている。手間がかかっても、定植にも収穫にも機械を使わない。機械を使うと、自分が目指す品質を保つことができないからだという。
「畑の上では同じ作物でも、生産者によって取引先に届いた荷姿がまったく違うことがある」
レタスの切り口が斜めになっていたり、泥がついていたり、剥がす外葉が多すぎたり少なすぎたり、箱詰めされたレタスがきれいに並んでいなかったり、箱に泥が付いていたりするものを、お客様に届けてはいけない。古原氏は、レタスの生産者のなかで、誰よりもきれいな荷姿で出荷したい、みんなの見本になりたいと考えている。
古原氏たちの収穫作業は、まさに職人技で、しかも仕上がったレタスは美しい。家族や従業員とともに、手際よくレタスの外葉を剥がして圃場に並べていく。そのスピードが速く、カメラのシャッターを押すタイミングが間に合わないほどだ。
「一人前に収穫できるようになるには、3年かかります」
しかし、研修に来るまつのの従業員にとっては、生まれて初めての作業だ。古原氏は、彼らに何を求めているのだろう。
「まつのさんは、流通センターで従業員の皆さんが、商品を丁寧に扱うようになることを期待しているでしょう。私もそうしてもらえたらうれしい。レタスは、土づくりから始めて、種から収穫までは60日から70日という長い時間をかけている。さらに収穫から箱詰め、冷却、出荷まで気配りしている。私たちのそんな姿を見て、生産者の思いを知ってほしいのです」
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