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特集

農業研修―企業が注目する人材育成効果


企業も、チームビルディングやコミュニケーションが重要視されている。農作業を体感することによって、気づくことがあると水田氏は言う。そのための「リアル」だ。
「我々の側のメリットは、まず我々の仕事を知ってもらう。そして農業の現状や魅力を伝える交流の場になればいい。それが規模拡大による収益増を目指す農業とは異なる農業経営スタイルになると思っています。幻の野菜や他より美味しい野菜をつくったり、生産性を高め続けるというのは限界があります。普通だけれども、他とはちょっと変わっている顧客志向の農園として差別化し、ファンを増やしたい。それが、この農園の規模とスタンスに合うと思い
ます」

【研修の費用対効果を企業にどう伝えるか】

企業研修を受け入れ事業は、16年に発案し、昨年の秋までに態勢を整えた。先行投資で研修専用の圃場を確保し、全天候に対応できるようハウスも2棟建てた。企業には、ひとつの野菜を収穫するまでの約3カ月間、ハウス1棟を貸すという仕組みをとる。また、基本的なプログラムも用意した。
ハウス1棟の土地と管理費に、研修1回当たりの費用を加えた額が、企業に求める研修費用だ。播種や収穫の作業体験だけ行なう企業の場合、日々の栽培管理は西阪農園が行なう。自分たちが同じ土地で生産した場合を上回ることはなくとも、リスクヘッジとして、ひとつ安定した収益を得られるビジネスモデルにするための料金を設定した。
「そうやって準備はしましたが、そうたやすくありませんでした」
水田氏は、昨年の秋から、企業に新人研修として活用しないかと声かけを始めた。しかし、人事担当者からは、なかなか良い返事はもらえない。農業という切り口は面白いが、研修にかける予算が合わないとか、なぜ作業だけなのかとか、社員は何を学べるのかといった返事が返ってきた。残念ながら、今年の新人研修のシーズンには、企業研修は決まらなかった。
そこで、コンサルティング会社と相談しながら、料金を何度も熟考した。そして、土地と管理費で30万円~に設定、それに研修1回当たりの料金を加えることにした。
「ただし、いかに費用対効果の信ぴょう性を示すか、いかに企業の予算との折り合いをつけるかなどの課題が残っています」

【企業の多様な要望にどう応えるか】

基本プログラムは、オリエンテーションと作業準備、実作業、農園の人とのコミュニケーションなどで構成している。企業の要望に合わせて、どの作物にするか、研修は何日間

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