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一般産業界を考えれば自動車に限らず様々な分野で海外工場での生産を含めて世界の圧倒的シェアを持つ。工業生産に限らず小売業や外食業が海外に進出するようになって久しく、さらにはラーメンや寿司などでは小規模事業者の海外進出も珍しくはない。
でも、農業界と政府はなぜコメを中心とした原料農産物の輸出ばかりにこだわるのだろうか。コメ輸出を考えるなら、何よりも水田への畑作技術体系導入を前提とした生産コストダウンが必要なのに、それを語らず、減反政策がらみの輸出支援策ばかり。高齢者のリタイアが現実的になった今こそ、技術革新を前提とした低コスト化で日本米の魅力を海外に売り出す時である。
さらに、冷凍米飯の輸出が伸びているが、冷凍にした弁当の輸出に力を入れるべきである。
政治主導の農産物輸出とそれに対する政策支援に期待するのではなく、異業種との連携のもとに、日本のコメだけでなく食文化の輸出を考えるべきだ。
その可能性は、弁当によるコメだけでなく、日本産のジャガイモを使った冷凍コロッケを中国やアジア諸国のコンビニやスーパーに置いたフライヤーや解凍装置を使って店先で売ることだって可能なはずだ。国内の労働力不足のなか、海外に展開するまでの原料供給・調達は現実的に厳しいかもしれないが、需要の存在に気づいて動き出すべきだ。
ラーメンがそうであるようにコロッケも外国由来の日本食である。多くの中国人が日本でラーメン屋に行列を作るごとく、すでに中国各地にも日本のラーメン店が客を集めている。今や日本農業にはメイド・イン・ジャパンもメイド・バイ・ジャパニーズにもチャンスが満ち溢れているのである。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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