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農業は先進国型産業になった!

外国人実習生の現地ルポ 実態と課題と展望 第3回 全国一のイチゴ産地、実習生受け入れて生産維持 栃木県真岡市(旧二宮町)


実習生の賃金は、4、5月のイチゴ多忙期は支給額21万円、通常期は15万~16万円。「うちの実習生は20代前半、失踪者はいない。月給は15万~16万円だけど、働く環境が良いからでしょう」。11年の東日本大震災の時も、農協管内は半数が帰国したが、ここは一人も帰らなかったという。
「自分の子供と同じように扱っている。2カ月に一度は街のレストランに食事に誘ってあげている。クリスマスには家でご馳走する。お正月にはお年玉をあげる。5月31日、イチゴ出荷納めの日には食事する」という。こうした家族的扱いの効果であろうか、父の日・母の日には、実習生が花を持ってきてくれる。お盆には線香を持ってくるという。
実習生は、夜はインターネットで遊んでいる(無料Wi-Fi)。前にいた実習生は毎週、東京へ、ディズニーランドへ行っていたという。筆者はこの数カ月、実習生の現場を歩いてきたが、その中で出会った一番温かい話だ。例外中の例外である。
松本正己氏(真岡市物井)のイチゴ栽培は、地域の平均的な規模だ。ハウス面積66a、100%JA集荷場に出荷する。去年の売上高は6800万円(75a)、10a当たり900万円と高い。もうカネは要らないので、今年は10a減らしたという。労働力は家族3人、実習生2人(中国人)の5人。昨年は日本人パートも一人いた。現在56歳であるが、60歳までは66aを続け、その後70歳まで50aで続けたいという。あまり欲のない人である。
実習生は女性で、二人とも既婚者。募集に際し、失踪などのリスクを考え、ダンナと子供を中国に置いている人を頼むと条件を付けたらしい(ダンナは捨てても子供は捨てられない)。カルチャーの違いには時々直面するようだ。
休日、実習生は買い物に行く。自転車で街まで20分。若い人で自転車に乗っているのは実習生と思えばいいという。地域の花火大会や祭りなどに参加させるが、イベントはつまらないようだ。実習生同士の交流はある。ウィチャットかラインか、スマホで国元と会話している。寂しくはないかもしれない。

【実習生は残業したがる】

(有)イイヤマ農産(飯山克則社長、真岡市物井)を訪問した。110aの大規模経営である。出荷はスーパー「ヨークベニマル」(本店:福島)に出している。農協経由-市場の普通流通より高値で販売できる。グラム換算で1割の高値である。100a経営なら700万~1000万円の差になる。イイヤマ農産のようなスーパーなどと直接取引する特殊販売は全農家の3割いる。特殊販売農家は冷蔵庫グループと称している。技術はトマト栽培の方が進んでいるので、イチゴ農家はトマトに学んでいるようだ。収穫のロボット化はまだ実現していない。

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