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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農村社会と集落の話(3)地域ブランドの特産品VS農場ブランド

地域ブランドを知的財産に

地域おこしのイベント企画は私のライフワークの一つである。そば打ちやうどん打ち、餅つきなど、その地域が元気になればという思いから地元の人が集まる場づくりを応援してきた。
企画から関わって準備を進めていく過程も楽しんでいるが、イベントが終わった後の懇親会で出される郷土料理も興味深い。北海道には明治以降に府県から移住してきた人が多く、移住前に生活していた土地の食文化を受け継いでいて、集落ごとに郷土料理は異なり、多彩なメニューを味わえるからだ。
これまでにご馳走になった郷土料理で印象の強かったベスト3を挙げると、四国に由来する手打ちうどん、富山名産の鮭の笹寿司、東北由来のずんだ餅がランクインする。なかでも、ビールのつまみの定番である枝豆を甘味で味わう食文化は新鮮で、ずんだ餅には意外性を感じた。もち米の生産団地を有する地区の地域おこしに5年間携わったときによくご馳走になったが、枝豆の緑色と白いお餅の組み合わせは彩りが良く、上品な印象を持った。
ある特定の国や地域でのみ作られる産品のことを特産品といい、郷土料理はそれらを使った料理のことを指す。農林水産物に限らず、加工食品や工芸品、広くは商工業製品など、物流や交易によって持ち込まれた原料を加工する過程で文化・風土を醸成したものも特産品になる。たとえば、私の大好きな辛子明太子は九州・博多の特産品だが、原料のタラコ(スケソウダラの卵巣)は当初、北海道沿岸で水揚げされた物が多かったと聞く。インターネット販売も増えて、ご当地に行かなくても手に入る時代になり、ありがたみは減ってしまったが、出張先で味わう郷土料理やお土産はお出かけの楽しみの一つである。
ところで、こうした特産品の原産地表示、あるいは原産地名称を保護する制度を皆さんはご存じだろうか。日本の地理的表示保護制度は2015年に始まった。簡単に説明すると、特産品の特性と名称を地名と結びつけて保護し、プレミアム感を高め、生産者や取り扱う業者の士気をより高揚させることを目的としている。現在登録されているのは35道府県の61産品に、イタリア共和国のプロシェットデパルマ(パルマ産生ハム)を加えた62産品だ(表1)。

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