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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農村社会と集落の話(3)地域ブランドの特産品VS農場ブランド


ただし、リスクは農場で追わなければならないので、JGAPや有機JAS認証などの第三者機関からお墨付きを得て、市場での突破力を兼ね備えることも、農場ブランドの手法の一つになる。地域ブランドとの違いは、ヒットするのも廃れるのも、農場次第であることだ。こだわりの一品は、一農場だからこそ生産管理を徹底できる。まさに経営者の手腕を発揮しやすい取り組みといえよう。

経営者の生き方に合った農村社会との付き合い方を

対局的な見地から地域ブランドの特産品と農場ブランドを整理してみた(表2)が、選ぶのは経営者だ。極端に言えば、経営者の生き方に似合っているかが重要となる。
農村社会と集落を見れば、地域で暮らす分にはどの選択肢も自分自身が納得していれば間違いではない。地域の役に立つ経営者でいるためには、地域の事業に積極的に参加するという方法もあれば、自立した経営者として貢献するという方法もある。若造が何をいうかといわれるかもしれないが、後者のほうが、楽しく雇用などを生む点で貢献度は高いと私は思う。
昔から変わったことをすると、皆と違う行動が、地域の常識や流れとそぐわないとして、ときに意味不明な嫌がらせともいえる制約を受けることもあった。しかし、過去に産地づくりで活躍したリーダーには実は変わり者と言われた人も多かった。それはいまも同じで、農業経営にも農村経営にも必要とされているのは新しいアイディアである。足並みを重視する農村集落も少しは変わりつつあり、加えて温暖化による天候変動は毎年何らかの影響を及ぼしている。継続的な農業経営を目指すうえで、政策や地域の慣習に従っているだけで安心という時代ではなくなっている。農村社会を残すためにはどの選択肢を選ぶのか。メリット・デメリットを理解したうえで地域の特産品づくりをリードする農業経営者になるのも、農場ブランドで手腕を発揮するのも地元に貢献する選択肢になり得るはずである。どちらを選ぶにせよ、選んでいるにせよ、消費者の求めるもの、お眼鏡にかなう一品を作る仕事はやりがいがある。農村の過疎にブレーキをかけるためには、似合う経営手法で農村が豊かになる経済活動を積極的に実践したいものである。

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