ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

果実的野菜の野菜的な要因は? イチゴ/メロン/スイカ/コダマスイカ

果実的野菜は、市場や小売店での扱い、消費者感覚からは果物であるが、生産統計上は野菜となっている。そのために、農水省、厚労省と共同でアピールしている。一般認識では果実であるイチゴ、メロン、スイカは野菜であり、イモ類、キノコ類は野菜の仲間に入らない。一方、生産者にとっては生産技術や防除などは紛れもなく野菜類だ。しかし、消費者感覚は果実だから、小売店でも市場においても他の永年果樹と同様に果実である。果実である以上、外見重視の評価ではなく、バラツキのない食味、甘さが要求されるが、どうしても野菜感覚で生産・出荷されている。そんな現状を見直してみよう。

イチゴ 過去10年は大きな品種変革期に。育種の速さが野菜的

【概況】
東京市場におけるイチゴ類の入荷動向を07年と17年の10年間で比べてみると、数量では10%減少して単価は18%高くなった。入荷のパターンを比べると、ともに3月に入荷ピークがあるが07年の方が3月に入荷が集中しているが、17年の場合は2月には対比では増え、3月は減っていて3月集中を回避、平準化の傾向があり、その結果単価も保合推移している。さらに07年12月は入荷増だったが、17年同月は25%も減っている。
【背景】
イチゴにおけるこの10年は、大きな変革のあった時代だ。栃木発の女峰、福岡発のとよのかが、トップ争いを演じていた2大品種時代(00~01年頃)に入荷数量が過去最大になったが、その後、栃木はシェアトップを目指してとちおとめに完全に切り替え、それに対して福岡はあまおうへの高級化を軌道に乗せた。いわゆる競争から棲み分けへという動きは、佐賀ではとのよかからさがほのかへ、静岡では章姫から紅ほっぺのブランド化につながった。
【今後の対応】
その動きはいまや各県、各産地がオリジナル品種で勝負するオンリーワン戦略にすっかり転換。さらに、主産地栃木県では「スカイベリー」、徳島県では「阿波ほうべに」など大粒品種へ、さらに熊本県では「ゆうべに」へ、静岡県では「きらぴ香」へと収穫期が前進化できる品種開発へと第2次転換期を迎えている。育種の速さや促成化、抑制化ができるのも、果実的野菜の特徴を最大限に生かしている。次なる課題は食味の安定化、完熟化だろう。

関連記事

powered by weblio