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農・業界

鉄原米研究所 (韓国)、韓国の農家が来日

  • 編集部
  • 2006年10月01日
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稲作農家の生産・販売一貫体制を視察  韓国の稲作農家20名が9月に来日し、関東各地の稲作農家を訪問した。来日したのは「鉄原米研究会」の会員(鉄原は韓国北部にある地域で、北朝鮮との境界線まで約4km。朝鮮戦争の激戦地でもあった)。
稲作農家の生産・販売一貫体制を視察

 韓国の稲作農家20名が9月に来日し、関東各地の稲作農家を訪問した。来日したのは「鉄原米研究会」の会員(鉄原は韓国北部にある地域で、北朝鮮との境界線まで約4km。朝鮮戦争の激戦地でもあった)。

 韓国も国民1人あたりのコメの消費量が減り続けており、生産過剰、米価下落が続いている。しかし鉄原では、1990年代前半に「オデ」という良食米品種が誕生し、韓国で最高クラスの価格を維持するまでになった。

 「鉄原米研究会」の崔正鎬(チェ・ジョンホ)会長によると、白米80kgあたりの生産者価格(昨年)は18万6000ウォン(約2万2300円)で、1kgあたり280円。日本よりも日用品の物価が安いので、韓国ではかなり高値といえる。市場での評価も高く、来日した農家のすべてが農協出荷で完売していた。

 しかし、今年から事情が変わってきた。韓国は昨年、WTOでの交渉の末、コメの関税化の10年間猶予が決まったが、条件としてミニマムアクセス米(MA米)の拡大、スーパー等での市場流通解禁を受け入れた。

 安価な米国産コメがスーパーで売り出された結果、コメの小売価格全体が下がったという。消費者はより安価なコメを求め、価格の高い鉄原のコメは苦戦を強いられるようになった。

 「今までは農家と農協が協議して米価を決めてきたが、これまでのような価格維持は難しい。価格を維持するには農協一辺倒ではなく独自の販路開拓が不可欠な状況」と、崔会長は話す。 今回の日本訪問は、直販に取り組む稲作農家に学ぼうというのが目的だった。

 一行は、柏染谷農場(千葉県取手市)およびソメノグリーンファーム(茨城県坂東市)を訪問。柏染谷農場では、「消費者会員を組織化し、交流を図っている」という染谷茂代表の説明に対し質問が相次ぎ、ソメノグリーンファームでは、米袋に炭酸ガスを注入して品質維持している「冬眠米」に関心が集まった。

 韓国ではこれまで収量重視で、10aあたりの窒素施肥量が10kgを超えていたという。それだけに、染谷氏の「3kgほどしか使っていない」、染野氏の「田んぼによっては有機質肥料のみで化学肥料は使っていない」という話にとりわけ興味を寄せていた。

 同日夕方には、みずほの村市場(茨城県つくば市)にて、日韓稲作農家による交流会が行なわれた。農家のひとり、宋炳旭(ソン・ビョンウク)氏が、40haの水田のうち26haで直播を実施、「バラ播きだが、3年に1度湛水にして田んぼを均平にする作業をすることで、移植と同じ収量が維持できる」との報告があった。

 崔会長は「韓国の稲作は日本より10年遅れている」と話していたが、個人農家や生産者グループが小型の精米施設を日本から導入し、産直体制を整えているなど直販に向けて過発に動いている。ここにきて韓国の稲作も様変わりし始めている。

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